『An unexpected excuse』

  〜緑の妖精編〜






「俺が好きなのは…………」

 周りの空気が張り詰めたものへと変貌していく
 更に、静かなものへと……
 言うべきかどうか悩む恭也
 空を見上げ、少し考えてるのか、思い出してるのか?

「先に言っておくが、俺には付き合ってる人が居る
 それで納得してくれないか?」
「誰ですか!? それは?」

 周りにとってはそれが誰か知りたい相手
 木々が風でざわめくのと同じ様に、恭也の周りの女性たちもそれを逃さない

「私ですよ、皆さん」

 そう言って、歩いてくる茶色のふわふわの柔らかな髪を肩まであり
 笑顔で言って歩いてくる女性
 その姿は、制服姿

「もう手続きは終ったのか?」
「はい、明日から恭也様と同じクラスメートです」

 嬉しそうに漏らす女性と呼べる人
 『様』付けしてるから、誰と聞かれても困るのだが

「紹介しておこう、彼女は、エスペリア=ラスフォルト……
 俺が愛してる人だ」

 顔を背けて言っては台無しな気がするが
 エスペリアは気にしてないようだ

「照れてしまいますね……えっと、ですので諦めてください
 恭也様は私にとって、とても大切な人なんです……その、誰にも渡したくない人でもあります」

 そう言って顔を紅くする
 恭也も同じく紅い

「えっと、恭也、どう言う事?」
「エスペリアさんとの関係が、恋人同士っていうのは分かりましたけど、師匠、何時から?」
「そ、そそそうですよ……それに、どうして私たちに言ってないんですか?」
「そうよ、これでも内縁の妻なのに」

 それぞれに、言ってる
 恭也は首をかしげ

「なんで、俺が付き合うのに誰かの許可が要るんだ?
 それに、言えば、かあさんが連れて来いって煩そうだったし」
「恭也様のお母様にご挨拶したいって言ったのに、ダメだって言われてしまいましたし」
「俺が高校を卒業したら正式に挨拶したいからな」
「ううっ、それはそれでプレッシャーが……」

 エスペリアが恭也の腕の服を小さくつまむ
 その仕草は可愛いという感じだ……もともと可愛いし美人なのだが、更に引き立つ

「何時からっていうのは、まぁ、なんだ……夏休みにちょっと会ったからだ」
「後、忍、余計なこと言うな
 エスペリアが気にするからな」
「あぅ」

 エスペリアは少し頬を紅くしている
 気にはしてたのだろう……恭也はそれに気づいて答えを返していた

「それで、エスペリアはどうしたんだ?」
「あ、いえ……恭也さまを捜してました
 お願いがありまして」
「お願い?」
「というより、この現場に出会えたことは良かったのですけど
 出来れば恭也さまに校内を案内してもらいたいんです
 学校の先生という人にも伝えましたら、了解をもらえましたので」
「そうか……じゃあ、俺が案内しよう」

 そういって、エスペリアへと手を差し出す

「??」

 小首をかしげるエスペリア
 どう言う事かわかってないのだろう

「手」
「あ、はい」
「迷子になっても困るからな」
「なりませんよ」
「分かってる」

 エスペリアはニコリと微笑み、恭也を確りと見つめる

「どうかしたか?」
「いいえ……」

 楽しそうにエスペリアは恭也の手を握ると、ぐいっと引き寄せる

「急にどうした?」
「恭也様が離れていきそうで寂しかった……ですから、意思表示です
 皆さんが恭也様を素敵で恋人にしたいとかわかりますけど、私は譲りません!」

 キッパリと言い切るエスペリア
 そして、それを間に受けて回りは驚きを込めて見る
 恭也もその時見つめられ

「高町先輩って、好きな人居たんですね……すみません」
「まぁ、俺の好きな大切な人だ」
「分かりました……」

 それぞれに戻っていく
 美由希、忍、那美、晶、レンは残っていた

「恭ちゃん、出会いを教えてよ」
「夏休みに、那美さんとお前が忍の家に集まってティータイムしてたときに
 忍が、海外の知り合いから送ってもらったアイテムを発動させただろう?」
「確か、私がこけて、那美さんが間違ってスイッチ押して、止めにそれが恭ちゃんに当たった時かな?」
「あの時は、美由希に少しばっかり苛立ちを覚えたものだがな」
「えっと、それでどうなったんですか? 師匠」

 晶が話を元に戻した

「その装置が時空間を操る機械みたいだったみたいで
 その土地土地を繋ぐ役割があるんだ……それが不完全だろうが発動したんだ
 何故かは不明って聞いてるが封印しておくに限るからな」
「それで、どうしてエスペリアさんも?」
「あ〜〜、簡単に言えば、俺は、あの機械を使ってまた戻ってきたんだ
 此処に?」
「??」
「え、でも、何時よ?」
「あの機械が発動して、俺はある一定の期間を違う世界で過ごした
 まぁ、誰にも言わないから話すんだが、此処より機械文明の無い世界だが」

 恭也は自らの肌で感じた木々のざわめき、水のせせらぎ、土地の香りを

「そこで同じ様な装置により戻ってきたんだ……まぁ、それまでの間、一月ほどはそこで居たんだが
 時空間転移という言葉のとおり、時も越えていたんだ
 で、お前らが発動した時間まで戻っていて、そのまま居たわけなんだが……」

 恭也は腕に体を寄せているエスペリアを見て

「エスペリアが、着いてきた」
「はい?」
「色々あって、俺は怪我をして休んで居たんだが……エスペリアのことを好きで、喧嘩や本当に色々あった
 でも、お互いに譲り合えない部分があり、それからは普通だったんだが
 その時、俺とエスペリアは護衛戦士として、侍女としていなければならなかった
 だからだけど、別れる覚悟も二人とも決めてたんだが……
 なんて言うか」
「周りにばればれでして、その背中を押されて、恭也様と一緒にこの世界へと辿り付いたんです」
「え、でも、あの時恭也とエスペリアさんは一緒に居なかったわよね?」
「あ〜、簡単に言うなら、エスペリアと少し離れて出てしまったんだ
 忍の家の外、壁にエスペリアは倒れていた……俺が慌てて出て行っただろう? あの後」
「そういえば、不自然なくらい慌ててたような」

 3人とも覚えはあるものの、失敗の分があるため、強く言えない

「美由希たちのおかげで、エスペリアと会えたからよかったかもしれないが」
「私は十分、感謝してますけど……今思うと、あの時別れなくて良かったと思ったくらいでした
 恭也さまと別れるとき、私、凄い泣いてたんですよ……誰も気づかれてないって
 でも、アセリアや皆が背中を押してくれて、恭也さまと一緒にって……」

 エスペリアも思い出したかの様に言う

「それから、直ぐに恭也さまが部屋を用意してくれて
 私は暫く恭也さまと共に居れませんでしたが、恭也さまが戸籍というものや色々準備してくださって
 今に至るんです」

 感慨深いところではあるが、恭也を睨みつけるように見る

「何で、戸籍とか?」
「あ〜、まぁ、簡単に言うなら必要かなぁって
 話したらくれた」
「誰が?」
「……国?」

 とりあえず、恭也は言わないつもりだそうだ

「蛇の道は蛇ってな……ま、エスペリアのことはそれで良いだろ?」
「じゃあ、最後にこれだけ教えて……なんで、恭也はエスペリアさんを家に連れて行かなかったの?」
「そうですよ、ししょ〜」
「部屋数が無いからな……それに、馬鹿騒ぎしそうなのが居るからだ」




〜翠屋、店内厨房で〜

「くしゅっ!」
「桃子、風邪?」
「ん〜、違うと思うけど」

 恭也が噂したとき、桃子はくしゃみをしていた





 恭也はそういって、晶たちを見て

「何より、エスペリアは誰かのお世話になるのは、今までからして出来ないから
 1人暮らししたいって言ってたしな」
「でも、恭ちゃん、なんでそんなお金なんて?」

 美由希がもっともらしいことを言う

「リスティさんに頼んだら、色々教えてくれたぞ」

 何気に可笑しな話ではある

「リスティさん、詳しく話してくれたら良いのに」

 那美はそう零す
 まぁ、確かにそうなれば、すぐさま分かっていた事なのだが

「リスティさんには、エスペリアのことを話してないぞ
 俺は、ただ、お金が欲しいから仕事を斡旋してくれって頼んだだけだし」
「えっと、じゃあ」
「ああ、それだけでエスペリア1人が暮らすには十分なお金が入ったからな
 戸籍なんかは、元から伝手があるから、そちらに頼ったんだ」

 納得する全員

「じゃあ、俺はエスペリアを案内してくる」
「分かったわ……ま、後は忍ちゃんに任せてね
 先生には午後の授業を高町くんはサボりって事伝えておくから」
「分かった……じゃあ、エスペリア案内するよ」
「はい」

 エスペリアは頷いて、恭也を見つめる
 その目はどこか遠くを見つめるかのような視線の恭也

「思い出してるのですか?」
「そういうんじゃないが、エスペリア」
「はい?」
「一緒に居ような」
「はい♪」

 恭也に抱きついてた腕に更に力を込めて抱きつく

「リュールゥ」

 小さな呟き……恭也には聞き取りにくい言葉
 だが、エスペリアの恭也への気持ち
 その日、恭也とエスペリアは有名になった
 腕に美女が抱きついたまま案内したのがまずかったのかもしれない
 ただ、恭也とエスペリアはその日、陽が落ちてから学校から出ていた








 おわり











 あとがき
 ふぅ
 シオン「翠の妖精ですね」
 蒼きよりは、大分楽に書いたつもりだけど
 ゆうひ「んで、永遠のアセリアでは?」
 アセリアエンドって所かな……ユートたちが出る前くらいって所
 シオン「じゃあ、エスペリアが無事なのは?」
 まぁ、そりゃあ、愛で賄ってるからかな
 ゆうひ「??」
 マナって、命なわけでしょ?
 シオン「だね」
 んで、マナを取り入れれば、エスペリアも問題無しだから
 ゆうひ「どうなるんだか」
 全くだね……驚きだよ
 シオン「書いておいてそれ?」
 それ
 ゆうひ「で、次は?」
 動けないだけだってば
 シオン「問題じゃん」
 ゆうひ「だね……でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ




今度は既に戸籍まで入手済み。
美姫 「うんうん。恭也もやるわね〜」
エスペリアの為に、仕事する恭也。
美姫 「これもまた愛よね」
さーて、次はどの妖精さんかな〜。
美姫 「それじゃあ、また次で〜」
一旦、さらばっ!



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