『An unexpected excuse』

   〜霧夜 エリカ編〜








「俺が好きなのは…………」

 周囲の者たちは恭也の言葉に耳を傾ける
 静けさが広がる
 風が起こす音だけが周囲を響かせる

「秘密ということでどうだろう」

 恭也の出した結論は言う必要が無いとの事だった

「こちらに高町恭也が居ると聞いたが、そこだな」

 一人の女生徒だろう人が居た
 声の主は恭也を見つけ、そのまま恭也を担ごうとするが、恭也により拒否されていた

「えっと、何で此処に鉄さんが居るのですか?」
「メールを送ったと姫は言っていたぞ」
「知らないな」

 恭也はそういって真顔で鉄と呼ばれた女性を見つめる
 その視線の先には、ショートカットの美女

「まぁ良い……恭也、お前転校することになってるぞ」
「??」

 恭也が小さく首を捻る
 意味が分からないみたいだ

「姫の意向で勝手にそういうふうに決まった」

 周囲が『そりゃないだろう』と突っ込みをしようとするが、恭也はため息を吐く

「まったく、あの破天荒娘は」

 知ってるような顔である

「誰が破天荒よ、誰が」
「お前だお前」

 お下げの娘を引き連れた金髪美女が歩いてきていた

「第一、学校はどうした、学校は?」
「学長以下数名からの許可をもらった遠出よ……生徒会の強化のために
 高町恭也を徴収します」

 果てしなく凄い言葉であるが、誰も何もいえない状態

「行かないぞ」
「私の誘いを断るつもり!」
「いや、だって、俺三年だし、しばらくしたらそっち行くからって伝えただろうが」
「それが不満だからこうやって来て上げたんでしょうが」
「あの〜」

 周囲の人が声をかけた
 しかも、忍たちが停止してるあたり、驚きが先に来ていたのだろう

「高町先輩とどういった関係で、どうして高町先輩を連れて行くのですか?」
「恭也は私のすべての最初を奪っていった男よ! 連れて行くのは私がほしいから」

 真っ赤になるもの、肩を寄せ合い泣くもの
 さまざまなものが出てきた

「佐藤さん」
「あ、はい、何ですか?」
「俺が転校って本当ですか?」
「エスカレータ方式の大学まで一貫して進めるところに転校だそうです
 その、エリーがほしいって駄々こねて、そこからは、高町さんの高校を調べて
 それはもう、力と笑顔のごり押しで決めてしまって
 止めてくれると思った、鉄先輩が……真っ先に陥落してしまって」
「よっぴー、説明はいいから連れて行くわよ」
「でも、高町さん相手に説明無しじゃあ無理だよ〜」

 良美の言葉に周囲は、淡い期待を抱く
 恭也が行かないかもという期待に

「エリカ、お前が答えろ……それによっては、ついて行ってやる」
「どうぞ」
「なぜ、俺だ……レオが居ただろうが」
「彼は彼で助けてもらうつもりよ
 といっても、恋人でもないから微妙だけど」
「俺じゃなくても、適任者が居るだろうが……エリートと会うんだろうが」
「最初それも良いかなぁって考えてたのだけど、私に意見し、曲げない根性と
 負けないものを持ってる人の方がいいわよね……何より、恭也言ったわよね
 『嫌いじゃない』って」
「言ったが」
「それって、普通か好きかって事だよね……だったら、別に転校くらい良いじゃない
 それに、こっちに来てくれる約束を破るようなことがあるの?」
「だがなぁ……わざわざ転校なんて」
「それに、私言ったわよね……『世界制覇に必要な人材はどんな手を使っても掴み取る』って」
「言ってたな」

 恭也は少し懐かしい思い出を振り返っていた
 夏に会って、色々話を聞いたりした……そして、別れ

「そ、必要な人材」

 秋の風が周囲を包む
 指差されてる恭也はため息を吐く

「どうせ、すでに偽造か正式なのか分からないが文書を作って提出してあるんだろう」
「ええ」

 堂々と言い切るエリカに恭也はさらに深くため息を吐く

「なによ」
「佐藤さんの苦労が分かる」
「失礼ね」
「鉄さんもか」
「うわっ、ひどっ」
「分かった分かった……エリカ、見せてくれるんだろ、マネーゲーム最強の座を」
「え……もちろんよ! じゃあ、ついてきてもらうわよ、恭也!」

 エリカの手はそのまま恭也の腕を引っ張っていく
 恭也はあきらめにも似たため息を吐いた
 目をつけられた時点であきらめるしかなかったのだろう
 此処まで強烈に劇的に熱烈にコールを受けて、断る術は持ってない




 その次の日、恭也の姿は鉄乙女と同じクラスで見られることとなった






 おわり










 あとがき
 うむ、二つ目
 美姫「書いてるときに気づいたけど、遊び人って意外とタイピング遅いよね」
 なれないキーボードなんだ
 美姫「ああ、それでか……なんか、前よりだいぶ遅いって」
 まぁな……ああ、肩も痛いし
 美姫「年寄り?」
 けほけほ、もう身体の中はおじいちゃんなんだよ、大事にしておくれ
 美姫「きしょ」(蹴り)
 かはぁ〜! いきなり内蔵に響きそうなのは止めて
 美姫「ちっ、しっかり身体を流しやがった」
 ひでぇ
 美姫「ま、これくらいで許してやるか……よし、いただいていくぞ」
 悪役だよ、せりふ回しが
 美姫「何か言ったかしら?」
 すみません……だから、そこで剣を構えるの止めてください
 美姫「分かってくれて嬉しいわ」(笑顔)
 ま、いいよ、あげるから……次は美姫の奴でも書いてみるか、つんでれだっけ?
 美姫「私はいいから、次書きなさいよ!」(蹴り)
 かくて、い……だ(ガクリ)
 美姫「ほんと、何でこれでSSを書いていけるかが不思議な物よね」
 ひで〜〜〜
 美姫「ちっ」








こうした多大なる被害の元に、このSSは届けられています。
SS作家の命を風前の灯火にするPAINWESTの提供でお送りしました。
……って、誰からも突込みがないのは寂しいものだな。
さてさて、今回はエリーことエリカ編。
いやはや、実にエリカらしい強引かつマイウェイなお話。
最早、諦めて大人しく従う以外に道はないのか(笑)
次回の『霧夜エリカの高町恭也育成計画 〜こうして私は護衛を手に入れた〜』
でお会いしましょう。……勿論、冗談です。って、やっぱり突込みが足りない……。



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