『An unexpected excuse』

   〜鉄 乙女編〜








「俺が好きなのは…………」

 黙ってしまった恭也に周りはどうしたのか顔色を伺い
 周囲に静けさが広がる
 と、不意に風が吹く……恭也の後ろから一陣の風が吹き抜ける
 そして、金属の音が響き渡る

「まだまだだな」
「ふん、女に囲まれてでれでれしてた軟弱者になんぞ負けん!!」

 剣を出してるショートカットの女性
 そして、恭也も小さな小刀で相手の剣を止めている
 いや、太刀と呼べるものをとめてるのだ
 ある意味で、この図は可笑しい……そして、絶対的な力量の差が分かる図である
 恭也が強すぎるという
 美由希はすぐさま気づいた
 周りを引かせた

「せぇぇぇぇぇぇい!!!」

 裂帛の気合……周囲がぴりぴりと帯電したみたく響く
 木々のざわめきが激しくなる
 恭也は静かな湖面のように、波一つ立たずそこに居る
 柳はどんな風をも流す
 恭也へと向かい、剣を立て続けに振るう女性

「此処には一般市民が居るんだぞ、いい加減にしろ!!」

 恭也が怒るように言うと、そのまま相手へと近づく
 たった一歩、その一歩で相手の間合いを殺し、自分の間合いへと近づく
 恭也は女性の頭の後ろの後頭部と呼ばれる部分に軽い攻撃を当て気絶させる
 見えたのは武術をたしなんでいるもののみだろう
 いや、武道の達人クラスと変更すべきだろう

「まったく」

 やれやれと言いたげな恭也は周りにため息をつきながら話す

「こいつは剣術とか、拳闘など、あらゆる格闘技が好きな人で
 俺の恋人である鉄乙女(くろがねおとめ)だ」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 大きな声が学園を揺るがす
 気絶した女性、乙女は目覚める様子は無い

「だって、今、覚悟とか、死ねとか」
「照れ隠しだろ……久々にこっちに来てたんだな」
「というより、どういう知り合い?」

 忍の言葉に簡易に返し、美由希は疑問をぶつける

「今年の夏にちょっと小旅行したんだが、そのときに知り合った人だ」
「えっと、それって」
「空腹で倒れていたところを助けてくれた男気ある人だぞ」

 『それはそれでどうかと』……女性たちの意見が偶然にも一致した瞬間であった
 恭也の答えに周囲はなるほど〜と納得してる娘たちもいるのであきらめてるものは教室へと
 慰めながら戻っていった

「んっ」
「おきたか」

 優しく声をかける恭也

「女性の敵を前に、私はまたもや負けたのか……また」

 乙女は複雑そうな顔してる

「少しは俺を信頼してると思ったんだが」
「あの現状を見て、どう信頼しろと言うのだ!! だから、私は……」
「だが、乙女とて、学校がある……違うか?」
「でも、お前は、鉄家へと婿として入ってもらうのだぞ」
「あれはたまたまだろうが!!」
「私は反対してない!! それなのに、恭也が反対したんじゃないか!!」

 半泣きになっている乙女
 恭也は頬をかりかりとかく

「だがなぁ、俺は、まだ学生でまだまだな奴だから却下と言っただけだろうが」
「……私の乙女心を奪っておいて」
「ギャグか?」
「うがぁぁぁーーーーーーーーーー!!!」

 怒る乙女
 恭也はやれやれと暴れる乙女を抑え、耳元で小さくささやく

「お前の心、確かに頂いた
 次会うときは何かを奪うと言ったが、何がいい?」

 その囁きは小悪魔の囁きのようで……恭也の背中には真っ黒な羽が生えてそうだ

「え、あ、い、あ」

 顔を真っ赤にし、乙女は暴れるのがとまる
 周囲には耳元へとキスしたように見えたが、実際は囁いただけだ

「恭ちゃん、その人と付き合ってるの?」
「先ほどのは冗談だし、付き合っては無い」
「ううっ」
「えっと、大丈夫ですか? その、恭ちゃん、容赦ないから
 …………あうっ」

 美由希の一言に、消しゴムが美由希の頭を直撃する
 大きさは消しゴム新品の大きさだったりするが気にしてはいけない

「恭也はうちに来て、ご飯をたらふく食べて、部屋に泊まり
 うちをホテル代わりにした人で、世話をしたのは私なんだけど、その……たまにかわいくて
 保護欲というか、構いたいと思ったり思わなかったりで……」

 乙女の言葉はだんだんと小さくなる
 それこそ、周囲には聞こえないが恭也にはばっちり聞こえていた

「いつの間にか頭を恭也の事でしめていて……好きになっていた」

 その言葉が……恭也はやれやれと思った

「で、何時まで恭也は鉄さんを抱っこしてるの」

 忍は少し怒り気味で言うが、恭也がそのまま下ろす
 ふらっとする乙女に手を貸し、支える恭也
 乙女は頬が赤い

「付き合ってないから」
「高町恭也の許婚であり、婚約者の鉄乙女だ……以後宜しく頼む
 それと恭也に手を出したら……血が流れるかも」

 最後のせりふが怪しいところである
 恭也が乙女の頭をぽかっとチョップし

「うそをつくな、うそを」
「うそじゃないぞ、ほら、此処に『高町恭也は鉄乙女の許婚です』と」
「偽造するな、そんな文書!」

 恭也は紙を取ると破る

「あれは予備だから大丈夫だ、本当に書かれてるのは東京だし」
「くっ……勝手に私文書偽造しやがって」
「大丈夫だ……私文書じゃないから」
「冬休みにでも行くから」
「約束だからな……じゃあ」

 嵐は去った
 それを思ったのは恭也以外にも居たことだろう
 ただ、恭也のファンクラブの面々は、毒気を抜かれ
 みな、聞き忘れてるのに気づかなかった
 恭也が誰を好きなのか……











 おわり











 あとがき
 ってな感じでどうよ、み〜ちゃん
 美姫「あの、なんで私此処に?」
 なんとなく、何時ものメンバーにいじめられる飽きた
 美姫「そのために、私が此処に?」
 おぅ!
 美姫「威張って言うな!!」(ジャブ)
 かほぅ! この程度、まだまだ〜〜〜!!
 美姫「くっ、手加減しすぎたか」(ストレート)
 ぐはっ!!
 美姫「手で防がれた……さすが、シオンちゃんとゆうひちゃんの父親は伊達じゃない」
 かはぁかはぁ!! まだまだまだ〜〜〜
 美姫「てぇぇぇぇい!!」(アッパー)
 見切った! たまには自分もかっこよく決めたいんだよパンチ!
 美姫「しまっ……(ぺちっ、ぽきっ)……へっ?」
 腕が折れた、いて〜〜〜〜〜〜(涙
 美姫「あほだ」
 ううっ、骨がこんなに弱ってるなんて
 美姫「じゃ、ばいばい、この作品は私の物よ!」
 ぎゃ〜〜〜〜〜〜、蹴らないで〜〜〜〜〜〜、いや〜〜〜〜〜、締めないで〜〜〜〜〜〜
 美姫「どこぞの作家の作業場みたいね」
 ごはぁぁぁ(血痰)
 美姫「では、また……一応、『つよきす』だそうです
    キャラが微妙に違うそうです、その点については謝ってました
    今も土下座してますし」
 (意識なくて、そんな感じに身体されただけの遊び人が数時間その場に残っていたそうな)









久しぶりに一人…。ポッツーン。
さあ、気を取り直して。つよきすシリーズ大量投稿〜♪
ありがとうございます。まずは乙女さんから。
いやいや、暴走する乙女という珍しいものが見れたよ。
面白い展開でした。この後も気になるけれど、どんな経由だったのかも気になる所。
色々と想像してしまいますよ。
次は誰の番かと期待しつつ、ではでは。



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