『An unexpected excuse』

   〜シスター編〜








「俺が、好きなのは…………」

 恭也の声で静まり返る中庭。
 周囲の音が響き渡る……つばを飲み込む音などもあちこちで聞き取れる
 ただ、恭也はどこか遠い所を見ている
 しゅるっと音が鳴り、恭也の腕部分に1人の少女と女性の中間あたりの人が現れる
 勿論女性だ……銀髪長いウェーブかかった髪の毛をし
 恭也の腕に抱きつく……その姿はシスターのカソック
 その女性が恭也に抱きついてるのだ

「カレン、どうした?」
「いえ、楽しいことをしてるようなので、引っ掻き回そうかと」

 そんなことの為に出てきた女性……

「ああ、彼女はカレン・オルテンシア……あっちに教会があるだろう
 あそこのシスターをしている女性だ
 まぁ、ちょっと性格は破綻してるけど、腕は確かだし、大丈夫だろう……多分」

 恭也がさらっと危険な言葉を吐き出しつつも、言い切った
 でも、やっぱり最後は弱く続いてたけど……多分って
 それを『失礼な』と思いつつ、恭也の腕に腕を絡め、体を寄せていく

「で、何しに来た?」
「転校が決ったので、校舎の中をうろうろしてました」
「その姿で?」
「はい」

 頷くカレン……恭也は、ため息をつく

「今度からはちゃんと制服着て来い」
「今日は転校初日じゃないから良いんです」
「分かった分かった……やれやれ」

 ため息をつく恭也に、忍や那美、美由希たちが聞きたそうな顔をしている

「一応の事情はさっしています……高町恭也のお世話になり、尚且つ今でもお世話されてる
 カレン・オルテンシアと申します……3年に編入という形で入りますのでどうぞよろしくお願いします」

 頭をぺこりと下げる姿は、シスターそのものだが

「恭也は私のご主人様ですから、絶対に手を出さないで下さい(はぁと)」

 周りが静かになった
 恭也は腕を抱かれながら、少しだけ後ずさる
 それも頷ける話なのは、那美や忍、美由希、レン、晶から殺意の視線があったからだ

「ご主人様って?」

 その声は、一般の生徒から聞えてきた
 恭也はため息をつきつつ答えた

「それは、カレンの冗談だ……シスターらしからぬ言動を取る事があるが
 多分無害なので大丈夫だと思う
 第一、俺はご主人様って柄じゃないしな」
「でも、アレの時は、私がマグロです」

 全員更に沈黙
 周りのさわやかな風や鳥の鳴き声が聞える

「アレ?」
「マグロ?」

 意味の分からない者が出ているが、恭也はさらっと一言

「気にしないでいい……とりあえず、カレンと話があるから、ちょっと離れててくれないか?
 見ている分には構わないから」
「あ、分かりました」

 恭也の営業スマイル
 その顔を見て、ポーと赤くなりつつ、疑問はどこかへと吹っ飛び歩いていく
 忍、那美、美由希、晶、レンの5人は留まろうとするが

「忍たちもちょっと離れててくれ……カレンと話がしたいから」
「あら〜、2人きりになりたいのかしら?」
「そう言う事でかまわないから」
「からかいがいがな〜い」

 そんな呟きを残しつつ、全員が離れていく

「カレン、直ぐに此処では抱きつくなと言っただろうが」
「ですが、あの人たちは恭也の(ピー)を狙って、(ピー)して、あわよくば懐妊
 そのままレッツできちゃった結婚です」

 恭也は心の中で激しく思うだろう
 皆を引き離しておいて良かったと……

「そんなことは考えてないと思うが」
「いいえ、女性はそう言う部分ではあざといので注意してください
 恭也はそう言う意味ではちょっと心配です」

 恭也自身は少し困った顔をして、カレンを見る

「そうでした……恭也、少し座ってください
 まだ時間は余裕がありますよね?」
「まぁ、そうだが」

 カレンに即されて座る恭也
 やれやれと思う反面、それでもカレンの言うとおりにしてしまうのが
 いい事か悪い事か考える

「で、なんで座らないといけないんだ?」
「どうぞ……学校に行く前に『翠屋』に寄って買ってきました」
「良いのか? カレンのご飯でもあるんだろう?」
「恭也と食べるために買ってきたんです……」
「そうか……ありがとうな」
「……」

 小さく息をついて、カレンは空ける
 中には、サンドイッチとサラダが入っていた

「少ないかもしれませんが、許してください」
「構わないさ……」

 カレンの言葉に恭也は小さく答え、サンドイッチを食べていく
 カレンもそれを見て、少しだけ笑顔になる

「どうした?」
「いえ……恭也を見て、ちょっとほっとしたのです
 無理矢理にですけど、恭也と同じクラスになれるようにもしましたしね」
「そうか」
「はい、年齢があいませんし、本来シスターたるもの必要の無いことです」
「だが、大丈夫なのか? 体質とか?」
「心配してくれてるのですか? それは大丈夫ですよ
 恭也が居てくれますから……被虐霊媒体質の反対ですから」

 恭也は少し考えてる

「ま、俺がカレンにとって唯一で、俺にとってもカレンが唯一だからな」

 過去、恭也が伝えた言葉だ

「私が、霊媒体質なのを知っても変わらず接して
 私が危ないと言ってもさわり、治した人ですから……恭也は私にとって、神父と同レベル
 いえ、もっと上の存在ですね」
「そんな崇められる存在じゃないんだが」
「くすっ」

 カレンが微笑を浮べ、そして、恭也の頬を舐める
 周りから『あ〜〜〜〜』とか『お〜〜〜〜〜』とか声が漏れる
 見られていたようだ
 だが、2人は気にしない

「ついてました」

 恭也はランチボックスを見る

「ナプキン入れ忘れ……後で叱っておこう」
「そうですね……手拭で拭いても良かったのですけど、汚いかと思ったので」
「いや、どちらも換わらないだろう……カレン、ありがとう」
「いえ」

 2人は昼を共にし、恭也とカレンは分かれる
 恭也はその日一日、忍たちに聞かれて、困った顔しつつも、付き合ってると答え
 翌日転校してきたカレンに同じ質問をぶつけたという
 ただ、その傍には恭也が居て、恭也とカレンは殆ど共に居るのだった








 つづく







 あとがき
 な、だから短い上に落ちが薄いだろ?
 シオン「というか、ちょっとシンミリ系?」
 まぁ、ほのぼの路線だな
 ゆうひ「もう1つは?」
 あ〜、ドタバタね
 シオン「もう一個あるよね……何か可笑しなの」
 ああ、シリアスタイプ、過去ありって奴ね
 ゆうひ「そういえば、恭也がカレンの反対って何?」
 ……恭也は霊症には掛からない……なら、周りに影響を及ぼすんだ
 シオン「どう言う事?」
 例えばだけど、忍が恭也にテンプテーションをかけようとするけど、掛からないって事
 ゆうひ「どうして?」
 それが霊症にかからないって事……カレンは逆だろ?
 シオン「無自覚で、その霊なる病を全部排除してるって事?」
 ま、簡単に言えばそう言う事……だから、例えば霊症を治すことも可能なんだけど
 ゆうひ「じゃあ、どうして、カレンには効果があるの?」
 それは、繋がったから……こう、ラインが……ね
 シオン「納得」
 というわけでした〜〜〜(ヤケ)
 ゆうひ「でわ、また〜」
 ほなね〜(^^)ノシ




いやいや、甘々な展開ですね〜。
美姫 「カレンらしい毒舌もちらほら」
他にも二パターン頂いたんだが、そっちがどうなっているのか楽しみだな。
美姫 「本当ね」
遊び人さん、ありがと〜。



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