<警告>
この作品は若干オリキャラ最強状態になりかけるのでご注意ください。
……ここは?
ああ、あの後僕は眠りについたんだっけ……
眠っている間、時々こうして意識だけ起きる時がある。そういう時は決まって昔のことを思い出す。
僕はアイリスを失ってからずっと独りだった。
悪魔や悪魔に憑かれた人と戦うための存在―「天使」―になり、そして、大切な人を失った悲しみから感情を抑え込み殺戮人形(キリングドール)になってしまった僕に「心」を、「優しさ」を、そして「愛」を教えてくれた人……。アイリスに出会ってから、僕は彼女を守る為、アイリスの為だけに戦うと誓った。
でも、アイリスは死んでしまった。僕が油断した所為で……。
アイリスが死んでから、僕はまた悪魔を殺すための「殺戮人形」として戦った、百年以上も……。その間も僕に優しく接してくれる人が何人かいた。でも、寿命がない僕と違い普通の人にはそれがある。そして出会ってから何十年か経つと、皆死んでしまう。そして、また一人になる。それの繰り返し……。
アイリスに出会う前の僕ならそれでもよかった。でも、昔と違い「心」があった僕はある時、「孤独」と魔に憑かれた人たちを「殺す」ことに耐えられなくなっていた。そして「堕天使」になってしまった妹分の「彼女」を殺してしまったことでこのまま生き続けるのが辛くなり、そのまま眠りについた。
そう、確かそうだった。特に「孤独」が一番辛かった。
僕は自分で死ぬ事が出来ないようになっていた。でも、悪魔に殺されるのも嫌だった。そして、人の手では僕を完全に殺すことは出来ない。術式を変えれば何とかなったかもしれないが、それは「天使」になる前でないとできない。
だから、眠りにつくことにした。
眠っていれば誰かに出会うこともないし、出会った後に死に分かれる辛さを感じることもないのだから……
別に僕を完全な「天使」にしたあの子を恨んでいるわけではない。そうしなければ僕は死んでいたのだから……。それに、あの時は時間がなかったから仕方がないしね。
そういえば、眠りについてからどのくらい経ったのだろう? たぶん、百年ぐらいだろうか
……ん? どこかで悪魔が召還されたみたいだ。変だな、眠っている間は魔の気配を感じるはずがないのに…………
でも、今の僕には関係ない。もう人とは関わらないと決めたのだから……。
それに、今の魔法使いにだって倒して送り返すことぐらい―――
『おとうさん……』
―――えっ
『おとうさん、おとうさん……』
子供の声…………ん? 何だ、頭に何かが……これはどこかの街の……っ! 何だ、この悪魔の数は!? いくら下位悪魔といってもこの数じゃ人間には全部を倒すのは無理だ。僕じゃないと……でも、もう人とは関わらないって……
『行きなさい』
え、誰?
『行きなさい、ルシィ……』
あなたは誰?
『行って助けてあげなさい。今それが出来るのはあなただけでしょ?』
ちょっと待って、何を言って―――
『彼らを見捨てるつもりですか?』
いえ、そういうわけではっ! でも、僕はっ……
『何を躊躇っているのです、ルシィ。このままでは小さな子供まで石になってしまいますよ? あの石化はかなり強力のようです。今いる魔法使いにはあれを治すことは出来ません。完全に石化してしまったらそれは死んでしまうのと同じことです。それでもいいんですか?』
でも、今から行っても間に合わないかもしれないんですよ?
『それでも行きなさい。たとえほとんど生存者がいなくても、何人かは生きているはず。それでも時間が経てば彼らも助からない』
でも……
『それに、あなたは「人」が好きなんでしょう?』
……!
『だったら早く助けに行ってあげなさい』
……分かったよ。でも、今からじゃ―――
『―――大丈夫。今の会話の間、あなたの周囲の時間を遅くしてあげてから、まだ一分も経ってないわよ』
そうなんだ…………なんでそんなことできるの?
『幽霊だから♪』
いや、いくらなんでもそれじゃ無理
『魔法使いの幽霊だからじゃだめ?』
……分かりました。それで納得してあげます
『よし! それじゃあその街まで飛ばしてあげる』
……あなた、ほんとに幽霊ですか?
『気にしない、気にしない♪』
はぁ…。それじゃあ行ってきます
『はい。行ってらっしゃい、ルシィ。終わったら戻してあげるからね』
はい、お願いしますね……
六翼の「天使」と魔法使い プロローグ
目を開けると、そこは一面火の海だった。
どうやら本当に彼女は僕を一瞬であの街に飛ばしてしまったみたいだ。
もう一度周りを見てみる。先ほど見たイメージと同じで家は燃え、そしてこの街の住民と思われる人たちは皆石にされていた。
「くそ、ほぼ全滅か…。いや、確かまだ生存者がいたはず……。それにしても先ほど見たイメージと感じる悪魔の気配が一致しない。どういうこ――ん? 封印系の魔法の気配……向こうか」
僕は今感じた魔法の気配の方向へ駆けていった。
しばらくして、生存者を4人……いや、1人は完全に石化しているので3人か。その石化している老人が先ほどの魔法を使ったのだろう。もう1人は……足が石化して砕けて倒れている。それに、あの若い男……たぶん、彼がこの周辺の悪魔たちを倒したのだろう。周囲に漂う魔力の残滓と同じものを感じる。
――っ! まずい、近くの瓦礫の陰にまだ悪魔がいる!
「光の精霊よ、我が下に集え――」
僕は走りながら右手に魔力を集め、その悪魔に向けて魔法を放つ!
「――スピット・レイ!!」
Side Negi
「――封魔の瓶(ラゲーナ・シグナートリア)!」
スタンおじいちゃんが魔法を発動させて目の前にいた悪魔たちを瓶の中に閉じ込めた。
「フゥ・・無事かぼーず。」
でも、その体がだんだん石になってきている。
「おじ・・おじいちゃん・・。」
「ぐむ・・!」
「スタンおじいちゃん!」
「フン・・・・大方、村の誰かに恨みでもある者の仕業じゃろう。この村にはナギを慕って住み着いたクセのある奴も多かったからな・・」
おじいちゃん、そんなことより体が……
「じゃが召還された下位悪魔どもの数、強力さ・・・・相手は並の術者ではあるまい。ウチの村の奴等が集まれば・・本来は軍隊の一個大隊にも負けはせん・・ハズじゃからな・・ぐっ」
「おじいちゃん!」
はやく、その体治さなきゃ……
「逃げるんじゃ、ぼーず・・お姉ちゃんを連れてな。ワシャもう助からん。この石化は強力じゃ、治す方法は・・ない」
そんな……
「頼む・・・・逃げとくれぃ・・どんなことがあってもお前だけは守る。それが・・・・死んだあのバカへのワシの誓いなんじゃ」
「おじい・・ちゃん・・」
「誰か、残った治癒術者を探せ・・・・石化を止めねばお姉ちゃんも危ないぞい・・。さあ、ぼーず。この老いぼれは置いて・・・・はや・・く・・・・」
――ぴしっ・・
「おじいちゃん・・スタンおじいちゃん・・?」
「お姉ちゃん」
おじいちゃんに言われた通り、お姉ちゃんを連れて逃げようとしてるんだけど……。
「起きて、お姉ちゃん。お姉ちゃん・・」
お姉ちゃんが起きてくれません。どうしよう……。
――ザッ
「――っ!」
さっき悪魔を倒していた男の人がいつの間にかいました。
僕に何か言おうとして――
「むっ!」
何かに気付き、その方向を向こうとしました。でも、それよりも早く、
「――スピット・レイ!!」
一筋の光がそこにいた悪魔の頭を撃ち抜きました。
「え……」
僕は何が起きたのか分かりません。すると男の人の後ろから足音が聞こえてきました。
そして、その足音の持ち主は
「大丈夫ですか!?」
と、僕たちに向かってそう聞いてきました。どうやらこの人がさっきの魔法を放った人のようです。
見た目はお姉ちゃんと同い年ぐらいのお兄さんでした。髪は水色で肌は白く、目鼻立ちはすっきりし、まるで女の子と間違えそうな顔で、その顔にある瞳は髪と同じ水色をしていました。服装は白いシャツに黒いズボンを履いていて……あれ? どこにも杖とか持ってない。じゃあさっきのはいったい……?
――グォオオオオッ!
そんなことを考えているうちに、生き残っていた悪魔たちがこちらに近づいてきた!
「そこのあなた、二人を連れてどこか安全な場所へ!」
お兄さんはそう男の人に言って自分はこちらに向かってきている悪魔たちのほうを向き、まるで槍を持っているような構えをしました。
「僕が連中の相手をします。だから早く!」
男の人が何か言う前にそう言って
「光の精霊よ、我が下に集え――」
魔法の詠唱を始めた。
「――我が意に答え、その姿を変えよ!」
そしてお兄さんの手に光が集まり、
「フォトン・ウェポン!!」
光の槍が生まれた。
「さあ、行って下さい!」
男の人はその様子とお兄さんの魔力の大きさを確認し、
「……分かった」
と言って、僕とお姉ちゃんを抱えその場を離れた……。
Side Rushian
…………行ったみたいですね。あまり戦っているところ、見られたくないですから
「さて、悪魔たちも近づいてきたことだし、行きますか」
そう、独り言を呟き、魔力を体に纏って地面を蹴り、一番近くにいた人間サイズの悪魔目掛けて駆ける!
向こうもこちらに気付き、迎え討とうとするが
「遅い!」
こちらの方が早い!
駆けた勢いのまま踏み込み、後ろにいた奴と一緒に貫く。その状態のまま光の槍を振り回して、左から来ていた悪魔たちへと投げ飛ばしてやる。そして、身体を弓のように引き絞り、動きが止まった連中に向け光の槍を投げる。かなり勢いをつけて投げたのでその後ろから来ていた集団も一緒に貫き、周りにいた奴も一緒に吹き飛ばす。
その間に、僕は体の中心に意識を向け、
「ミーナ、君の力を借りるよ…。『裁きの槍(ジャッジメント・ランス)』」
自らの内より、昔の自分のパートナーだったあの子のアーティファクトだった武器を呼び出し、
「行きます!」
手に取り構え、残りの悪魔どもへ突き進む!
悪魔たちに怯えの色が広がる。当たり前だ。今僕が持っているのは対悪魔殲滅用武装の一つ、「裁きの槍」なのだから。
これは直に先の部分で斬ったり、貫いたりしなくても悪魔は触れただけでダメージを負い、力が弱ければそのまま滅することも出来る。ただ、使うと少しだけ退魔衝動のようなものが襲い、制御を誤ると延々と悪魔を狩り続けるという状態になってしまう欠点があるのだが……
そんなことを考えているうちに、もうかなりの数の悪魔を「消して」いる。そして、また一体、その体を貫きこの世から消し去る。「裁きの槍」には少しだけ意思があって、意識がない時などは勝手に体を動かすことがある。だから、便利だがある意味危険なものでもあるのだ。
周囲にまだいるようだが……んっ! まずい!! 一部、丘のほうへ向かっている。あそこはあの三人が向かった場所だ! 今から普通に翼を広げても間に合わない……
しかたない、あれをやるか
そう思い、僕は
「我が体を縛りし聖なる鎖よ、我が命に従いその戒めを解き放せ……」
あるキーワードを口にする。
「封印解除!!」
その言葉を言い終わるのと同時に、一瞬だけ体に絡みついた金色の鎖が現われ弾け飛び、僕を本当の姿――六翼の天使――へと変える!
そして、一瞬で丘の頂上付近の空間に転移し今の状態で使える最大の魔法を唱える。
「光の力を司りし精霊たちよ、我が声に従え」
私の声に従い上空に光が集い始め、
「光の雨となり、彼の者どもを滅せよ」
一つ一つの大きさが拳大の光の玉になり、そして
「降り注げ! ジャッジメント・レイ!!」
悪魔たちへと降り注いだ。
Side Negi
「降り注げ! ジャッジメント・レイ!!」
突然、目の前の空間に現れた翼を生やした人は詠唱を始め、その強大な魔力を解き放ち、空から降り注いだ無数の光により、一瞬で悪魔たちを消し去ってしまった。
僕はその光景に目を奪われ、その間一言も発することが出来なかった。
しばらくして光の雨が止んでから、僕の目の前から去って行こうとしていたお父さんが口を開いた。
「君は……もしかして伝説の天使『ゼロ』なのかい?」
……僕は自分の耳を疑った。
今、お父さんは目の前にいる三対の翼を生やした人を伝説の天使「ゼロ」と呼んだのだから。
「……その通りです。この姿の時の私は『ゼロ』や『六翼の天使』と呼ばれています」
「――!? その声はさっきの!」
そして、今、自分のことを「ゼロ」だと言った声はさっき僕たちを逃がすために街に残ったあのお兄さんの声だったのです。こちらを向いた顔をよく見ると、髪の毛の色と瞳が金色になっている以外はお兄さんの顔だった。
「でも、私には人としての名前の『ルシアン』と言うのがあるので、出来ればそちらでお呼び下さい」
お兄さんは人の良さそうな笑顔を向けながらそう言いました。
そして「ゼロ」――ルシアンさんは僕たちのもとに降りてきて、まだ目を覚まさないお姉ちゃんの傍まで来て跪き、石化が収まった足の様子を見て
「……この程度ならすぐに治せますね」
と、言いました。それを聞き安心したのか
「そうか…………なら二人のこと、お願いしてもいいか、ルシアン? 俺はもう行かなくてはいけないんでね」
と、お父さんはそう言ってまた空へと浮かび上がり始めました。
ルシアンさんはそんなお父さんを見て、少しだけ考え、
「分かりました。あと少しだけしかいられませんが、お願いされましょう」
と言いました。その返事を聞いたお父さんは
「ありがとう。それじゃ、ネギ。元気に育て。幸せにな!」
最後にそう言って、僕の目の前から消えてしまいました。
「お父さ・・お父・・さん・・・・・・お父さあーーーん!!!」
僕はお父さんの名前を呼びながら泣きました。何度も、何度も……。
しばらくして、僕が泣き終わるのを待っていてくれたルシアンさんが
「それじゃ、お姉さんの治療を始めますよ」
と言いました。
「癒しの力を司りし精霊たちよ、我が声に従い、我が羽に宿りて彼の者を癒せ……ヒーリング・フェザー」
そう呪文を唱え魔法を発動させると、ルシアンさんの背中にある三対の翼から光を纏った何枚もの羽がお姉ちゃんの足に集まり、徐々に治していく。
しばらくして足が元通りになり、
「う……ん」
お姉ちゃんが目を覚ました。
「ここ…は?」
「お姉ちゃん!!」
「あん、ちょっとネギ、どうしたの?」
僕は思わず、まだ横になっているお姉ちゃんの胸に飛び込んでいた。
「だってお姉ちゃんずっと目、覚まさなかったんだもん」
「そういえば、私あの後気を失って……あれ、でもどうして足が治ってるの?」
「それはね、ルシアンさんが治してくれたからだよ」
「ルシアンさん?」
「やっと私の名前が出ましたね」
「え、あな・・た・・・は?」
ルシアンさんが苦笑いをしながらお姉ちゃんに話しかけた。そのお姉ちゃんもルシアンさんの姿を見て驚いてるみたいだ。当たり前だよね、話しかけてきた人の背中に翼が生えてるんだもん。
でも、なんで顔が赤くなってるんだろう?
「初めまして、私の名前はルシアン、私のことをよく知る者からは『六翼の天使』、『ゼロ』とも呼ばれます。ネギ君たちの話から知ったのですが、『伝説の天使』と言えば分かると思うのですが……」
「えっ! 御伽噺になっているあの?」
「…………御伽噺にもなっていたのですか。いったい誰が…て、彼女しかいませんか」
ルシアンさんは呆れながらも御伽噺を書いた人と知り合いなのか、一人で納得していた。
「それよりも。どうですか、足の具合は? 一応ちゃんと治したつもりなんですけど……」
「ええ、大丈夫です。治していただきありがとうございます」
「いえ、いいんですよ。私が躊躇しないですぐに来ていればこんなことにはならなかったはずですから……。それに、私は足を治しただけで石化を止めたのはその子のお父さんですよ」
「え! おじ様が!」
「え、ええ、そうで・・・す・・け・・ど……」
「どこに、今どこにいるんですか!」
あ、ルシアンさんがお姉ちゃんの勢いに引いてる
「お、落ち着いて下さい。今はもういませんよ。ついでに言うと行き先も知りません」
「そう…ですか。」
「一体どうしたんです? あなたのおじさんっていったい……」
「それは僕が話すよ」
僕は落ち込んでしまったお姉ちゃんの代わりにお父さんについてルシアンさんに話した。
名前はナギ・スプリングフィールドで「サウザンドマスター」と呼ばれる最強の魔法使いだということ、皆からもう死んでしまっていると聞いたこと、そして、さっき悪魔に襲われそうになった時助けてくれたこと……。
「そういうことだったのですか……確かに不思議な話ですね。ですが、何故今になって現れたのかは分かりませんが、何かしら理由があったのかもしれません。それで、あなた方、特にネギ君の危機を察知し現れて助け、そしてまた姿を消したのでしょう。先ほど、彼を見たとき妙な気配を感じましたから……。でも、よかったじゃないですか、どんな形であれ生きていることが分かったのですから」
ルシアンさんがそう言うと、お姉ちゃんはいくらか元気になってくれたみたいです。僕もさっきより元気が出てきました。だから、ルシアンさんにこう聞きました。
「ねえ、ルシアンさん。僕もがんばって『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』になれば、お父さんとまたどこかで会えるかな?」
と。そして、ルシアンさんは少し悩んだ後
「そうですね、会えるかもしれませんね。でも、絶対と言うわけではありませんから。そのことを忘れないようにしてください」
と、言ってくれた。それに僕は
「うん!」
と、笑顔で答えた。
しばらくして
「さて、そろそろ戻りますか」
と、ルシアンさんが言った。
「え!?」
お姉ちゃんはどうやらお礼がしたかったみたいだけど、先ほど断られて少しがっかりしていました。でも、今の発言でそんなことも吹き飛んだようだ。僕のほうはさっき「少ししかいられない」と言うのを聞いていたためあまり驚かなかった。
「まだ会ったばかりなのにどうしてですか!」
これは僕も思っていたことだ。もうしばらくここにいてもいいのに何でだろう?
そう思っているとルシアンさんは目を閉じて意識を集中し始めた。
すると、光と共に金色の鎖がルシアンさんの身体を拘束するように現れました。そして、ルシアンさんは光に包まれ、その光が収まったらそこには水色の髪と瞳をした翼のないルシアンさんがいました。
「えっと、これが僕の力を抑えた人としての姿、あなたに見せるのは初めてでしたね。先ほどの質問ですが、理由の一つはもう少ししたら迎えが来るんですよ。それともう一つは―――」
ルシアンさんは何かを言おうとしました。でも、
「―――何でもないです。まあとにかく、僕はこれから眠りにつかなきゃいけないんです」
ルシアンさんは誤魔化しました。しかし、今、言った言葉にも聞き逃せないものがありました。
「眠りにつくってどういうことです?」
いやな予感がしました。
「そのまんまの意味ですよ。眠るんです、何年もの時を、ね」
「じゃあもう会えないんですか?」
その僕の言葉を聞き、ルシアンさんは少し考えてから
「大丈夫。また君たちが危険な目にあったら、すぐに駆けつけてあげるよ」
「ほんと!」
「ええ、本当です。約束しますよ。それに、彼のお父さん、ナギさんにもお願いされましたからね」
そう笑顔で言ってくれました。
「あ、そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね」
そういえば……
「私の名前はネカネ・スプリングフィールド、この子は…」
「僕の名前はネギ・スプリングフィールドです」
「ネカネちゃんにネギ君ですね。と言ってもネギ君の名前はすでに会話から知っていましたけどね」
そして
「……ん、来たみたいですね。それでは、二人とも元気で」
淡い光に包まれ、顔に笑顔を浮かべながらルシアンさんはそう言いました。
「はい」
「うん!」
「また会いましょう」
そして、ルシアンさんは僕たちの前から消え、帰っていきました。
Side Rushian
「また会いましょう」
僕はそう言って、二人の前からいなくなった。
『いいんですか、あんな約束をして?』
眠りにつこうとしたらまた彼女が話しかけてきた。
いいんですよ。それになんだかまた、しかもすぐにでも会えるような気がするんです
『そう、ルシィがそう言うのならそうなのかもしれないわね。それじゃ、私はもう行くわね♪ おやすみ、ルシィ』
はい。おやすみ、アイリス……
そして、再び眠ろうとしてふと疑問に思った。
このままちゃんと眠れるのかどうかと……。
でも、その心配は必要なかったようだ。
しばらくして、僕はネギ君たちとの再会を楽しみにしながら、再び眠りについた。
あとがき
どうも、アゥグです。
さて、こちらに持って来てしまいました
アイリス「そうね」
ついでにこのプロローグにはアイリスも出てきました
アイリス「なかなか重要な役回りなのよね、今回の私って言うかこれ以降ほとんど出てこないんじゃなかったっけ、私?」
いえいえ、ちゃんと出てきてるじゃないですか…………名前が
アイリス「名前だけじゃない!!」(ごすっ)
ぐはっ……(ばたん)
アイリス「(何か赤い液体が付いた杖をふきふきっと)さて、作者が倒れてしまったので私が代わりに…。次回もよろしくお願いしますね♪」
ぐっ……で、では。
ネギま!のSSだよ〜。
美姫 「ルシアンというキャラの登場で、どうなるのかしら」
それは次回以降〜。
美姫 「次回も待っていますね」
また次回で〜。
美姫 「それじゃ〜ね〜」