「突然やけど、ウチこと『八神はやて』は本日でめでたく9歳になるんや!」

 

 

「・・・妹よ、誰に話している?」

 

はやての兄である恭也は唐突にあらぬ方向へ誕生日をアピールする妹を―――具体的に言うと、精神とか脳について心配する。

 

「んー、なんていうか、お約束みたいな?」

「お約束?」

「そないに深く考えんと、かるーく流さなアカンよ」

「・・・そうか」

 

生暖かい理解をされてはやては不本意だ。

良い兄なのだが、この辺のお約束をかるーくスルーしてくれなければ困る。

それが関西人の血の為せる技だ。

 

「俺は関西人になった覚えはないんだが」

「アカン!――口に出しとる!?」

 

迂闊。はやては車椅子で器用にうなだれる。

 

「不覚や・・・ウチ、そんな芸人スキルなんていらんのに・・・」

「芸人スキルなど正直どうでもいいが、もう欲しいものはないな?」

 

恭也は片手で車椅子を押しながら、もう片方の手では器用にショッピングカートを牽いている。

中丘町の大手スーパーは本日セール中ということで、買い物客がごった返している。

その中でも恭也は誰とともぶつからないように、人の流れの邪魔にならないようにスムーズな動きで進む。

 

「うん、今日のお目当てはこれで全部や・・・恭兄ぃの方はケーキの材料、足りてるん?」

「ぬかりない・・・しかし、今年は本当に甘さ控えめのホールケーキで良いのか?」

 

レジで清算しながら、恭也は尋ねる。

 

「はやては甘めの方が好きだろう?」

「せやかて、甘いケーキは恭兄ぃが食べられんやろ」

 

恭也はどういうわけか甘いものが苦手。

体質がどうこうというわけではないので、食べられないわけではないが。

だから、去年までははやての分だけというタルトやモンブランを作っていた。

 

「別に俺のことなど気にせずとも良いのだが・・・」

「アカン、アカン・・・雰囲気がでらんやろう?」

「まぁ、それは一理あるな」

 

はやての誕生日で自分のことまで気を遣う必要はないだろうと恭也は思うが、はやての好きにさせてやることにした。

どうせホールケーキとシングルで掛かる手間は大して変わらない。

 

持参の買い物袋に買った物を詰め終わり、肩に掛けてから車椅子を押し始める。

 

 

 

二人の住む家は、中丘町の住宅街の中心にある。

鉄筋造りの二階建てロフトと庭付き。築6年。

関西に住んでいた八神夫妻が海鳴に越してきたときに建てた新居。

今は、恭也とはやての二人しか住んでおらず空き部屋も多くなってしまった。

 

「ただいま」

「ただいまー」

 

玄関を開いて、二人は家の中へ入る。

車椅子のはやてのためにユニーバーサルデザインの改築がされている家は、車椅子でもほとんど自由がないように動き回れる。はやては車椅子を進め、手を洗うとキッチンへ入る。

 

「気が早いな」

 

恭也は袖捲りをする姿を横目に冷蔵庫へ食材を詰める。

 

「ふふふっ・・・日々成長しとるウチの実力を見せるときやからな!」

 

ぐっと握り拳を作る。

二人暮しで、二人とも料理はできるが普通の料理ならばはやてに分がある。

座右の銘は「どんと来い和洋中」。それ、座右の銘じゃないとかいうツッコミは関西的にアウト。

 

「それで、どんな料理にするつもりなんだ?」

「まだ秘密や」

 

あっさり。

 

「誕生日の定番と言えば・・・七面鳥か?」

「なんでやねん!?」

 

思わず裏手ツッコミ。

 

「恭兄ぃ、それは感謝祭や」

「・・・知っている。はやてを試しただけだ」

「・・・本当かいな・・・」

 

だったら前に入った僅かな間はなんだったんだろう。

 

「まぁ、七面鳥が必要なら獲って来るが?」

「いやいや、日本に七面鳥はおらんやろう?」

「知らないのか?あれは雉の仲間だぞ」

「せやかて――――」

「雉は美味いからな・・・」

「美味いんか・・・・せやったら・・・って、ちゃうやろう!!」

 

裏手ツッコミがビシィッ!

 

「アカン・・アカン・・・また恭兄ぃのペースに乗せられるところやった・・・」

「ふむ・・・」

 

昔はよくこれで引っかかって素直に言うことを聞いてくれたが、ノリツッコミを覚えてからのはやては攻略が難しくなったと一人ごちる。

真顔で騙したり、嘘をついたりできるこの兄を相手に油断はできないと心を引き締めて、

 

 

「・・・で、何の話やったんやろう?」

 

最初は何の話だったか、完全に忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝋燭をつけてから照明を消す。

年の数と同じだけ挿された蝋燭の数は9本。

お約束の歌が独唱され、その締めくくりに蝋燭の火を吹き消す。

 

パンパンパンパンパン――――

 

拍手と共に照明がつけられ、恭也は向かいの席に戻る。

 

「9歳の誕生日をありがとう、はやて」

「うん・・・こちらこそありがとうな、恭兄ぃ」

 

素直に言われて、はやてはハニカミながら自分からも礼を言う。

誕生日を二人だけで祝うようになって4年目。

“ありがとう”―――本当は毎年、その一言だけで涙を堪えている。

 

両親を交通事故で亡くし、その事故ではやても足に障害を負った。

海鳴に引っ越したばかりで友達もなく、親戚もなく、容易く世界は壊れされた。

それでも恭也が居てくれた。母方の従姉弟で、両親の好意ではやてが生まれる前から居候していた恭也も事故に巻き込まれ、大怪我を負った。今もその全身には大火傷の跡が残り、顔も半分が焼け爛れている。

恭也は語らないが、その大火傷は炎上する車からはやてを助け出すためだったと病院の看護士がこっそりと教えてくれた。

 

絶望するはずだった人生には、まだ義理だが兄である恭也が残ってくれていた。

生き残ったのではなく、生き残らされてしまった。そう思うこともある。

けれども、こうして恭也に毎年“ありがとう”と言ってもらえるだけで明日も、次の日も生きていける。

 

両親が居ない寂しさがないと言えば嘘だ。もっと賑やかな家族の方が嬉しいのも本音だ。

でも、恭也が一緒に居てくれる今の家族も十分幸せだ。

 

 

「それじゃ、乾杯しよか」

「そうだな」

 

ワインクーラーという中々本格的なもので冷やしていたシャンパンを取り出す。

 

―――キュポン!

パァン―――!!

 

恭也はコルクを抜いた瞬間、飛んでいくはずのコルクを有り得ない反射速度で掴んだ。

 

「うーん・・・恭兄ぃの人間離れが進んどる気が・・・」

「これぐらい普通だろう?」

「いやいやいや、それは絶対にないやろう」

 

トクトクと空気と触れ合う音をたてながらそれぞれのグラスにシャンパンを注ぐ。

 

「しかし、はやてもこういうものに興味を持つ年頃か・・・」

「その誤解を招きそーな言い方はやめてぇな」

 

青少年のベッドの下や、二重張りされたビデオのラベルの下など、親がしみじみしてしまうイベントのようなものだが、たかがシャンパンにそれはないだろう。

 

「はやての年頃ならシャンメリーで十分だと思うが・・・」

「・・・察してくれてもええのに」

 

この複雑な乙女心を理解しろという方が無理かもしれないが、そう思うがの乙女の性だ。

 

「まぁ、ノンアルコールとは言えシャンパンだ。ほとどほどにな」

「分かっとるよー」

 

あははと笑いながらはやてはグラスを手に取る。

 

「それじゃ、乾杯」

「かんぱーい!」

 

グラス同士がぶつかる硬質の音が鳴り、二人は揃って中身を呷る。

恭也は涼しい顔をしているが、はやては難しい顔をしていた。

 

「どうした?」

「こう・・・なんて言うんやろう・・・想像していたんとちゃう・・・」

「大体想像はつくが、そういうものだ」

 

1%未満ではあるが、それでアルコールを感じる人間はほとんど居ないだろう。

しょんぼり難しい顔のはやてに苦笑しながら、恭也は料理へ箸を伸ばす。

二人なので量こそ少ないが、種類は豊富だ。

一口食べて・・・・

 

 

「むっ・・・腕を上げたな、はやて」

「・・・ふふふっ、この日のために温存してたウチの腕に驚いたやろう?」

 

舌の鋭い恭也から高い評価を得て、はやては素早く立ち直る。というか、既にそんなこともあったのかどうかも忘れて得意になっている。

できれば普段から隠さずに発揮して欲しいのだがと言いかけて、恭也は胸の内にしまう。それもまた今日という日の楽しみかたの一つだろう。口に出すのは野暮というもの。

 

はやても自分の料理を自画自賛しながら、箸が進む。その量は年相応。

一方の恭也は一体どんなカロリー消費の仕方をしているのか、健啖家らしい食べっぷり。

 

「なるほど・・・マスタードとホワイトソースで牛ヒレを煮込むとは・・・」

「牛ヒレという辺りが高級感のポイントやけど、他の部分やと煮込み加減が難しいんよ」

 

などと料理談義があったとかなかったとか。

 

 

 

「そや、恭兄ぃ」

「ん?」

 

料理も平らげた恭也が小さなホールケーキにケーキナイフを刺し入れる。

その手捌きは見事で、ケーキが型崩れせずに切り分けられる。

 

「ええっとな・・・今年のプレゼントは何やろう、って思うたんやけど・・・」

 

もじもじしながら、それでも聞かずにはいられないという様子で恭也に尋ねる。

 

「・・・ふむ」

「なぁなぁ」

「気になるか?」

「当たり前やんか」

「そうか・・・」

 

それでも恭也はプレゼントを明かさずに切り分けたケーキを皿に盛り付ける。

食器に凝っていたはやての母が残したウースターの皿が目の前に出される。

 

今回のケーキはクリームがほとんどない、ビタースウィートケーキ。甘いものが駄目な恭也が自分で工夫したもので、ビターチョコでコーティングされたケーキは調理段階から低温で作ったのでひんやりとしている。

その魔力たるや、はやてからプレゼントの思考を奪いかけるほど美味しそうだ。甘さ控えめという辺りが大人の味わいっぽくてポイント高しと一人で採点している。

 

「はっ!?アカン―――危うくケーキで懐柔されるところやった」

 

恐ろしい罠だったと、冷や汗を拭う真似をする。

別に誰も懐柔していないのだが。

 

 

「プレゼントの話だな?」

「そうや」

 

勢い込むはやての前に恭也は三つのパンフレットらしきものを出す。

 

「なんやのこれ?」

「目を通しながら聞いてくれ」

「ええけど・・・」

 

手近なパンフレットを手に取ってめくってみる。

 

「旅館“葵屋”?」

 

中身は変哲もない旅館が独自に発行している宣伝用パンフレット。

しかも、これはかなり手作り感が溢れている。大手の洗練された内容ではないが、逆に素朴さが際立つ。

 

「俺の知り合いが経営している旅館で、信州にある」

「・・・関係が皆目分からんのやけど」

 

首を傾げるはやて。

恭也の交友関係の広さは謎だ。

 

「形のあるものだけでも良いが・・・たまには思い出作りもいいかと思ってな。近く旅行をプレゼントすることにした」

「・・・・・・・・・・・はいぃっ!??」

 

旅行?

英語ならトラベル?

 

「旅行は嫌なのか?」

「そ、そうやないけけど!―――けど・・・」

 

自分の足のことがある。

回復の兆候のない足の障害は、逆に年々悪化の一途を辿っている。

去年までは補助用の杖があれば学校に通うことができていたのに、車椅子がなければ生活できない。

今は休学という形を取っているが、いずれは特殊教育支援校へ編入するかの選択をすることになる。

そんな状態で旅行というのは、恭也に迷惑が掛かるだけだ。

はやては、恭也に迷惑や苦労を掛けてまで旅行をして自分だけ楽しむということをしたくなかった。

 

「嫌ではないなら問題ないな」

「せやかて・・・旅行言うたら、ウチは絶対・・・恭兄ぃに迷惑掛けてしまうやんか・・・」

 

日常の中でも、恭也の苦労ははやてには計り知れない。

それが旅行となれば2倍も3倍もなるはずだ。

 

「ふむ・・・」

 

はやての内心を悟れないほど、鈍くは無い。

 

「はやて。世の中に、誰にも迷惑を掛けずに人と付き合える人間が居ると思うか?」

「・・・・・・」

「勿論、そんな人間は世捨て人だ。一人だけで完結し、独りだけで生きている。だが、はやては独りではない。足のことを抜きにしても、誰かに迷惑を掛けずに生きることなどできはしないんだ」

 

諭すつもりなど毛頭ない。これは兄妹の間で何度も交わされてきた会話。

 

「それに、これはプレゼントだ。労を掛けてこそ価値が出るというものだろう?」

「恭兄ぃは・・・それで、ええの?」

 

家でゆっくりするだけのはやてと違い、恭也は身の回りの世話もある。

料理は作れても、下肢の自由が利かないはやては場合によってトイレや風呂でも介助が要る。

それらに休みはなく、恭也は行動をはやてに合わせなければならないから自分の時間がまずない。

 

「はやてには悪いかもしれないが、俺にとってはやてとの時間は生き甲斐だ。労は事実だが、そこに苦はない。旅行を喜んでもらえれば、それだけで俺は十分に報われる」

 

そう言い切る恭也の顔から、嘘は微塵も見えなかった。こんなときに嘘を言うような人でもない。

 

 

「ああもう・・・なんなんやろうなぁ・・・」

 

アカン、アカンと自分に言い聞かせる。

嬉し泣きでも、泣くわけにはいかない。

きっと恭也は自分が泣くのを堪えているのをお見通しでも。

自分こそ言いたい。“そう思ってくれるだけで自分の方こそ報われる”と。

 

 

「さぁ、はやて。信州、京都、北海道の三つから選ぶと良い」

 

「そやなぁ・・・」

 

パンフレットを手に、悩みながらケーキを食べる。

何て贅沢な一時だろう。本当に生きていて良かったと思える。

 

しかし・・・・

 

「アカン・・・どれも捨て難い!?」

 

とんでもなく贅沢な悩みだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん・・・・」

 

楽しい二人だけの誕生日会も名残惜しいが終わり、ベッドに入って電気も消したはやてはまだ悩んでいた。

信州、京都、北海道という観光スポットのどれか一つに絞るというのは難しい。

ちなみに、駄目で元々。全部行こうといったら電光石火で却下された。

日程やお金の問題ではなく、「また次の機会に行けるように楽しみは取っておくものだ」と。

その言葉が嬉しくてまた泣きそうになったのは別の話。

 

「ね、眠られへん・・・」

 

悩むこと以上に、旅行と思うだけで心が躍って興奮してしまう。

やってみたいことや、行ってみたいところは一杯ある。

物心つく前はよく旅行をしていたそうだが、残念ながら記憶があまりない。そう考えるとこの旅行がはっきりと記憶に残る初めての旅行になるのだ。

 

できることならベッドの上でゴロゴロ転がって溢れる感激を表現したい。

 

「口元がにやけるぅ」

 

頬をむにゅむにゅとマッサージするが、ニヤケ顔が止まらない。

もう壮絶に顔が緩んでいる。ユルキャラどころの話ではない。ユルユルタレタレ。

 

けれども、そろそろ寝なければ明日に差し支える。

明日は本屋に行ってパンフ以外にも旅行用の資料を買う予定だ。

病院の定期健診はないが、休学中の宿題もある。

それに寝坊をすれば、恭也にも迷惑が掛かってしまう。掛かる迷惑を努力の範囲で少なくするのがはやてのモットーだ。

 

時計の針は後30秒で6月5日を指そうとしている。

誕生日は、それだけの時間で終わりを告げる。

そう思うと、急に名残惜しさが込み上げてくる。毎日が誕生日と望みはしないが、しんみりとした寂しさに胸がキュッとなる。

 

同時に、来年の誕生日はどうなるのだという楽しみが湧いてくる。

それが気の早い話とは、はやてには思えなかった。

 

 

 

―――カタカタカタカタ

 

 

嬉しさ、楽しさで頭が一杯になっていたはやては、その音に気付くのが遅れた。

 

 

「?」

 

 

音に気付いて、その本を見たときには異常が一目で分かるようになっていた。

 

本好きで、家に居ることの多いはやての部屋には大きな本棚がある。

その中の一冊。いつからあるのかはやても知らない。恭也も知らないというその一冊。

装丁は洋書っぽいが鎖で厳重に閉じられ鍵までついている、ある種の不気味さを醸し出すその本が整理された棚から抜き出され、今にも落ちそうになっている。

 

はやてにしても、そんな本があったことも忘れていた。

しかし、それを考える以上に不自然なのは、本が淡く発光していること。

まるで闇夜の蛍であるかのように赤紫色の燐光を放つ。

 

「な、なんや・・・!?」

 

どもりながら、上半身を起こすはやての手が目覚まし時計に当たる。

時計の針は後15秒で日付を変えようとしている。

 

カタカタという音が、金属が擦れる音に変わる。

 

 

ギィ――ン!!

 

 

その音が、鎖が引き千切られる直前の音だと分かったのは、本を開けないようにしていた鎖が千切れて弾け飛んだ後。

すぅっと鎖が床に落ちる寸前で、消えてなくなる。

はやての視線はその不可思議な現象に気付くことなく、開錠されて開いていく本に釘付けだった。

 

あまりに、非現実的な光景に身体がフワフワと浮き上がるような感じがする。

そして身体の奥から湧き上がる懐古に近い、懐かしさ。その感情をはやては表現する術を知らない。

 

 

開いた本が最初のページになった。

それまで白紙ばかりのページだったのに、そのページだけ何かが書かれていた。

けれども知らない言語で書かれた文字を読むことはできない。

 

(お名前を)

 

「へっ!?」

 

唐突に聞こえた声に素っ頓狂な叫びが出る。

 

(お名前をお願いします、マスター)

 

「あ・・・・れ・・・?」

 

この声をかつて聞いたことがあるような、ないような。

多分、聞いたことがあるのだろうがそれだ何時でどこだったのかがまったく思い出せない。

だが、その代わりに頭の中に直接聞こえてくるその声に応える。

 

「ウチは、はやて・・・“八神はやて”や」

 

(“八神はやて”・・・認証完了)

(起動手続き完了)

(守護騎士プログラムの動作チェック・・・・)

(フォルダアイン・・・動作不良―――起動可能)

(フォルダツヴァイ・・・動作不良―――要リプログラム)

(フォルダドライ・・・正常動作)

(フォルダフォア・・・動作不良―――要リプロラグム)

(フォルダフュンフ・・・正常動作)

(フォルダゼクス・・・正常動作)

(フォルダジーベン・・・正常動作)

(守護騎士プログラム、起動)

 

 

「あ?え?ちょぉ――――」

 

勝手に進む頭の声に待ったをかける前に、本から光が溢れて遮られた。

眩しさに目を瞑ったはやて。それでも瞼を突き抜ける明るさに顔を手で覆う。

 

そして、眩しさの光が消えた頃、

 

「主はやて、闇の書の守護騎士―――ヴォルケンリッター、参上いたしました」

 

忽然と部屋に現れた、パツキンのねーちゃんや、ちびっ子、でっかい犬、おっぱい魔人に褐色のねーちゃんなどに、

 

 

「ん・・・・きゅうっ」

 

 

はやては意識を手放すことで、全部うっちゃることにした。

 

 

 

「・・・まさか、俺がこれの収拾つけるのか?」

 

 

突然の光とはやての声に部屋へ駆けつけていた恭也は、部屋の中のカオスにそう零すしかなかった。

 

ちょうど時計の針が零時を回った頃。

八神恭也の一日は実に不本意なことに、まだまだ終わりそうになかった。

 

 

 

 


あとがき

 

幕間の話のトップバッターです。

時系列順で話が入るのでこういう話になっています。原作では誕生日当時の零時ということになっていますが、そうなると前半の流れを作れないので誕生日が終わる直前ということにしました。

これから幕間の話はリバース版ヴォルケンズの加わった八神家、フェイトの裁判などが中心になりそうです。できればヨートゥン事件を思わせぶりに混ぜたいですが、時間的に厳しいですねぇ・・・。

ヨートゥン事件を誰か書いてみません?今後の展開を全部ネタバレされますけど。

 

ついでに、あまり突っ込まれることはないでしょうがはやての現状について説明を。

はやての事故や足の障害の説明は私のオリジナル設定です。

小学校入学前から足に障害があるので本来は肢体不自由者として特殊教育支援校へ入ることになりますが、これをすると学校へ通うことになるので却下しました。現状は足の治療に専念するか、特殊教育支援校へ編入するかのモラトリアムです。

しかし、休学ということは、原作でははやての足はつい最近になって悪化したとしか思えないんですよね。

 

さて、旅行ですが京都、信州、北海道が候補です。

特に京都だと旅館『山吹』、信州なら『葵屋』に宿泊することになります。

これには元ネタがありますが、分かった人は本当に凄い。色んな意味で。

 

あ、はやての関西弁がインチキでも許してください。雰囲気で書いているので。

 

 

それでは次回でまたお会いしましょう。





はやてと恭也の何気ない日常から始まった物語。
美姫 「しかし、それはふいに崩れさる?」
突然現れた謎の人物たち。
しかし、五人目は誰なんだろう。
美姫 「楽しみよね」
うんうん。恭也を加えた八神家がこれからどうなっていくのか。
美姫 「次回も楽しみに待っていますね」
待っています!



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