第8話 蓉子の憂鬱

 美里の水着は思いのほか早く決まった。

 こちらはワンピースタイプで、柄は茶色と黒のストライプ。

 ちなみに、水着を購入するための費用を優斗がどこから捻出したのかは内緒である。

 会計を済ませた後、四人は同じフロア内にあるレストランへと移動した。

 ちょうど昼時で混雑していたが、何とか人数分の席を確保することが出来た。

 優奈はサンドイッチセットを、優斗と美里はハンバーグランチをそれぞれ注文する。

 ただ一人、蓉子だけは何も注文せず、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

「体の具合でも悪いんですか?」

 少し心配そうに優奈が尋ねた。

「平気。あたし、減量中なんだ」

「そのわりにはこの前は随分とボリュームのあるものを食べてたみたいだけどな」

「うるさいなぁ」

 ちょっとムッとしたように頬を膨らませる蓉子。

「でも、お昼ちゃんと食べたほうがいいですよ。ダイエットしてるなら尚更です」

「ありがと。でも、いいの。あたし実は今日あんまり持ってなくてさ」

 蓉子はバツが悪そうに笑った。

 そんな彼女の様子を見て、優斗は徐にテーブルの隅に置かれたメニューを取って差し出した。

「ほら、さっさと注文しろよ。おごってやるから」

「え?」

「今日付き合ってもらったからな。そのお礼ってことでさ」

 優斗は照れ臭いのかポリポリと頬を掻きながらそう言った。

「あたしを痩せさせないつもり?」

「嫌ならいいんだ」

「じゃあ、嫌だ。その代わり、一つお願いを聞いて」

「お願い?」

「そう、お願い」

 蓉子は意味ありげな笑みを浮かべて優斗を見ている。

「言ってみろよ。俺に出来ることなら何でもしてやるから」

「その言葉、忘れないでよ」

「あ、ああ……」

 一瞬見せた蓉子の真剣な表情に、優斗は戸惑いながら頷いた。




 ―――あとがき。

龍一「美里の水着姿を期待してた人、ごめんなさい」

蓉子「まったく。サービス精神の乏しい作者でごめんね」

龍一「ま、まあ、そう言うなって。この先、まったくないわけじゃないんだから」

蓉子「……まあいいわ。今回はあたしメインだったし、許してあげる」

龍一「ふぅ」

蓉子「落ち着いてないで次行くわよ」

龍一「へいへい」

蓉子「それではまた次回で」

 




蓉子の水着はやはりなかったか……。
美里もあっさりだったし。
美姫 「いや、それ以外に言う事はないの(汗)」
そうそう、蓉子のお願いって何だろうね。
美姫 「確かにね。あの笑みが気になるわ」
一体、どんなお願いを聞く羽目になるのやら……。
美姫 「私だったら、まず斬る、殴る、蹴る。それから〜。あ、新しい技の実験…もとい、特訓に付き合ってもらう」
言い直したのが気になるが、それよりも、そんな事はいつもやってると思うんだが……(汗)



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