恭也のハーレム伝説(in神咲家編)











第14話 決戦前夜








 明日の昼に、ご飯を軽く食べて、俺と雪乃さんの本当の死闘が始まる
 先ほどまで明るかった空はすでに夕闇となっていた
 そして……これからのことを考える
 勝ちたい……この闘い負けたくない
 1人の男として、1人の剣士として……雪乃さんが笑顔で居るために
 座禅を組む……意識を集中する
 霊力の扱いとか知らない……でも、不破の言葉にはあった
 「斬れぬものでも斬れると思えば斬れる」と
 その意味が霊も斬れるということかどうかは分からない
 でも、歴代の不破の剣士はあらゆるものを斬ったと父さんは言っていた
 それがどういう意味か俺には理解できないが……

「……負けられないな」

 俺はそっと呟く……扉が開くことなく、気配が来た
 それは、誰であると言えば、御架月だった
 俺の姿を見て、黙っている方向を選んだのだろう

「どうかしたのか?」
「フィアッセさまたちは明後日に来ることになりました
 そして、それには薫様や那美様も加わるそうです
 明日の試合は、神咲当代たちが立会い人となりますから」
「3人の当代ですか?」
「はい……薫様、葉弓様、楓様のお三方です」
「誰が立ち会っていても構いません
 ただ、邪魔が無ければ……」
「恭也さま?」

 この時、俺は周囲に目を配ることなど出来なかった
 今、修羅の道を行くのでなく、雪乃さんの笑顔を守るために小太刀を抜く
 それが、俺が出来る精一杯の返事だ

「恭也様は気づいてるのですか? かなりの方に好意を持たれてることを」
「フィアッセ、アイリーンさん、エレンさん、ゆうひさん、イリアさん、薫さん、楓さん、那美さん、
 雪乃さん、葉弓さん、ティーニャさん、リーファさん、シルヴィアさん
 この人たちは俺を家族と思えるくらいに思ってくれてるのは分かる
 ティオレさんもだな……」
「(気づいてないですね……おかわいそうな方たちです)何故そこまで気づいてるのに何もなされないのですか?」
「俺が何かしたら誰かが傷つくからだ……他の誰に手を出しても
 誰かが傷つく……」

 俺は目を閉じて答える
 その答えがあってるかといえば、間違ってるかもしれない
 でも、中途半端な気持ちでみんなに気持ちを吐露したくないのも確かなのだ

「恭也さまが考えてるならいいです……それだけで、皆様少しはほっとすると思いますから」
「ああ……御架月、刀ごと持っていくから、刀に戻ってくれないか?」
「どうかしたのですか?」
「試す」

 俺は刀に戻った御架月を見て、刀を持つ
 そして、廊下に出て、神咲家の庭に出る
 目を閉じる……周囲と同調するかのように、風を、すべてに耳を澄ませ
 斬れると思った瞬間に振りぬく
 今、俺のとっている格好は居合い
 一撃の打ち込みで切り払う
 その極意……少しだけ教えてもらっていたけど、それでも、この一撃で分かる

「すぅ、はぁ」

 呼吸を整え、体を前に倒す
 斬れる!! 今!!!
 鞘走りの音が鳴る……シャァァァンという音が……
 目を開けると目の前には舞い落ちる木葉があった
 そして、振りぬくと、御架月を仕舞う
 木葉は二枚へと変わっていた

『恭也さま?』
「ああ、御架月……悪かったな、試し斬りしてしまって」
『いえ……でも、何で僕を使えるのですか?』
「は?」
『前までは重かったといって一回集中でしていたじゃないですか?
 今なら、全然余裕がありそうですよ』
「余裕なんて無い……あの一回ですべてが決まるんだ」

 俺は空を見上げる
 満月が俺を見ている……今なら大丈夫と思えるほどに……
 明日の試合は一瞬で決まるか、持久戦となるだろう
 戻って寝よう……明日は闘うのだ






〜第3者視点〜

「恭也くん」
「早かったね」
「薫ちゃんの振りぬきと同等か、それ以上」

 薫、楓、葉弓の順で話す
 それは上から見ていた3人の感想……

「霊力が使えないんじゃない……使えてる」
「はい……確かに、霊力の波動を感じました」
「驚いたね……恭也くん、知らない力を自らで引き出すなんて」

 3人の話題は恭也のことだった

「明日の試合、恐ろしいことになるかもしれない」
「え?」
「考えてみたら分かると思うけど、恭也くんも霊力が使える
 小太刀にそれを入れたら、強度という点でかなり増す
 そして、うちの母さんじゃ……稀代の神咲流の剣士やった人じゃ」
「あ!! 確かに、私たちは自分たちを守ることも出来ないかもしれません」
「恐ろしい闘いになりそうなのは決定だね」

 明日の闘いのことに3人は身震いする
 一応、自分たちが立会い人をすると言ったが、本当はいらないのではとも考えてる
 剣士は言葉より剣を使って語り合う
 そのために、明日闘うと2人は決意したのだから……

「薫、大丈夫ですよ……気持ちは言葉無くとも伝わります」
「十六夜、どうしたんじゃ?」
「さきほどの居合いを上から見ていました……いい一撃なので驚いてしまいました」
「十六夜さんは明日、どう見てるの?」
「分かりかねますが、明日は私も剣として戦うことになるのでしょう
 だからこそ、雪乃には勝ってもらって、恭也さまの傷を癒すのは……」

 どちらかといえば、ずれた解答といえるだろう
 だが、恭也の傷を癒すという言葉が出たとき、3人は黙ってなかった

「「「恭也くんの傷はうち(私)が治します!!」」」

 なんともぴったりな3人に十六夜は頬に手を当てつつも

「いえ、これだけは譲れません……」
「いいえ、恭也さんは私が治します」

 那美までも参戦
 そして、この夜に5人の女性が廊下で言い合いをしているのだった
 誰が傷を治すかと……
 まだ、夜は始まったばかり……だが、時が流れるもの
 1人喧騒を聞きながらも、目の前のものを眺めている
 黒い鉄製の長い針のようなものだ
 手の長さくらいあり、棒手裏剣のようにも見える

「恭也くん、私は……気付いていたのですよ
 でも、闘いしか知らないから……不器用なんですよ
 だから、勝ちます……たとえ私の剣士としての生命が閉じようとも
 恭也くんなら責任をとってくれるでしょうから……体が弱くなったのは動かなくなったから
 足が運動量に耐えられなくなったから……
 周囲の子は私に勝ってもらいたいみたいです
 恭也くんはどうするのかしら?」

 その夜に、眠ることが出来たものと出来なかったものが居た
 2人の剣士が寝たのは早かったという
 それは、次起きた時には戦いが始まるからだろう……
 一介の剣士として、御神不破と神咲としての戦いが……








 つづく











 あとがき
 シオン「短っ!!」
 さてと、今日はこれくらいで終わるか
 ゆうひ「って、待ちなさい!! 短すぎよ!!」
 これでいいんだよ
 シオン「何で?」
 ゆうひ「そうよそうよ!?」
 長くても困るから……短くて十分
 シオン「じゃあ、次は長いの?」
 微妙だけど、長くなると思う
 ゆうひ「もし長くなるならその2とか使うつもり?」
 多分な
 シオン「ま、あまり怒らないけど、続くならちゃんとしなよ」
 まぁ、考えておくよ
 ゆうひ「斬!!」
 って。いきなり斬りかかるな!!
 シオン「てぃ!!」
 だから、何何だよ
 ゆうひ「いや、心眼ってのをためそうかと」
 へ?
 (遊び人に刺さる、数本の剣)
 いたたたたたた!!
 シオン「平気そうね……全部急所ずれてるし」
 出血で死ぬわ!!
 ゆうひ「でわ、また〜」
 って、血が血が!! でわ、また〜(^^)ノシ



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