恭也のハーレム伝説(in神咲家編)












第16話 守る剣











〜恭也視点〜

 じりじりと間合いを詰める……
 一足の距離になってからは更に慎重だ
 だが、お互いに気を抜けない相手
 全力を出し切るとお互いに拮抗するだろう

「恭也くん、多分私はこれで最後になると思う
 だから……その瞬間にすべてをかけるから」
「はい……俺も全力で持って相手をさせていただきます」
「お願い……」

 雪乃さんが小さく何か呟く
 俺には『受け止めて』と聞こえた
 そして、足音と気配が希薄になる
 なるほど……でも!!

「行きます」
「ええ」

 初めてじゃない、戦い
 お互いの手は分かる……ただ、俺だって技が幾つかある
 相手も同じだ……なら!!
 奥義之参 射抜
 突進系最強奥義で先に相手の出鼻をくじく

「神咲壱刀流 奥義之参 雪光」

 相手も突きを出す
 その速さはこちらと同じかそれ以上
 だが、こっちは変幻自在の二刀だ……ただ、俺は相手の剣をお互いにあわせ
 そして、すぐに相手が引く
 !!!!

「弐の太刀!」

 俺の小太刀を潜り、更に俺の懐へと入ると、そのまま剣を縦へと振るう
 踏み込み、斬りともに完璧の域だろう
 俺も斬られるという情景が一瞬浮かぶ
 だが、闘えば勝つの御神流だ……

「この程度で!!」

 射抜の最後の太刀を雪乃さんの剣とあわせる
 すぐに三番目がくるかと思ったが、力勝負となった
 確実に俺の方がいけると思ったがすぐに引いた
 相手の蹴りが横から来ていたのだ

「ちっ」

 しかし、突進が完璧にいなされてしまった
 しかも、相手は傷つくことなく無傷
 俺も無傷だが……
 呼吸はどちらも上がっている
 やはり奥義というのは疲れるものだ

「まさか、同じような技があるとは」
「そうですね……でわ……!!
 神咲壱刀流 奥義之六 煌耀」

 六連撃の剣筋!! ギリギリで見える……それでも、普通の速さでは相当だ
 神速を使うか? いや、多分避けられる
 そして、俺が喰らうだろう……向こうには十六夜さんが居るから
 それこそが神咲流の強さでもある

「御神流 奥義之六 旋薙」

 迎撃……選択肢はこれしかなかった
 避けるということも浮かんだが、却下だ
 こちらは四連撃だが……
 その全てに徹を込める……できる
 父さんがしていたように!!
 そして、俺は体のリミッターを切る

「くっ」

 相手が驚いた顔をして俺を見る
 その間に俺は重たいゼリーの間を潜りぬける
 だが、この程度で根を上げてられない
 すぐに攻撃に移らないといけない
 と、相手が加速!! 雪乃さん、まさか!!?

「せぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!」

 歩法、縮地か……!?
 俺はすぐに小太刀で応戦するが……
 体が……!!
 勢いだけで吹き飛ばされる
 それも、重力は下なのに、後ろへと
 後ろには壁がある……そこに当たると問題だ……
 剣を止めれても勢い殺せずか……何という剣撃の力
 それも相手が呼吸を荒くしてまで出した技だ
 俺はすっと足を壁へと向ける
 壁だって、床だと思えば……着地できる!!
 ダンッと音がして壁に着地、その後、床へとずり落ちるのを飛んで降りる
 雪乃さんは、唖然として俺を見ている

「嘘でしょ……アレを壁に激突を防ぐためになんて
 しかも、腕とか小太刀のために体を後ろに自ら飛ばすなんて」
「それを野球と同じ要領で吹っ飛ばすなんて考えする雪乃さんの方が驚きましたけど」
「でも、それを平然として受け止めていた」
「内心ドキドキものでしたけど……次で終わらせます」
「そう?」
「はい……長引くのいやでしょうから」
「私は構わないけど」
「いえ……雪乃さんが辛そうな顔するの嫌いですから」
「ありがと」

 雪乃さんの顔は先ほどから疲れとか他にも胸の痛みだろう
 そのために顔色が悪い……過去負わされた傷だろうが
 それは治るという事は無かった
 ただ、過去の姿、最も自分が動ける時へと戻ったんだ
 しかも、最強の体という状態で……自らのピークという時を……迎えて

「行きます」

 いつもの構え……父さんが得意とした構えで
 雪乃さんは正眼の構えだ
 迎撃だろう……勝つんだ
 俺は……

「守ります、貴方の笑顔を……そして、貴方自身も、俺も……」
「恭也くん?」

 少し疑問を感じた顔をするけど、すぐに消える
 そして、動いた
 奥義之歩法で……縮地対神速
 どちらが先に抜けるか!!

「はぁぁぁぁぁ!!!」
「はぁぁぁ!!」

 そして、お互いに力を込めて、打ち込む
 最後にお互いが出した技は分からない……
 ただ、闇の中で幾筋もの光が抜けた
 そして、お互いはなれたところに立っている

「お見事」

 雪乃さんの服を紙一重で切り裂いた
 相手を切らず……首筋に一つ、腰に一つ、左右対称につけている
 そして、相手の右腕に一つだ……
 俺の方はそこまで酷くないものの、最後に一発喰らっていた
 まさか、喰らうの分かってて、俺に最後切り抜ける際に蹴りを当てられている
 ガードはしたものの間に合わず、少し打ち身にはなっている
 ま、打ち身程度ならマシだろう……

「負けだね……つぅ」

 膝を折り、そのまま倒れ込む雪乃さん
 俺は歩いて彼女の横に座る……十六夜さんが現れて癒しをかける
 ただ、あまり芳しくは無いだろう

「恭也くんは気づいてるの?」
「箱が教えてくれましたから」
「じゃあ、何で? 私は……」

 雪乃さんの頭をそっと撫でる……捨てられた子犬みたいな顔
 でも、悲しいと分かる
 彼女は今まで壱刀を伝えるという名目があった
 だが、それは出来なかった……そして、俺と闘っている間
 ずっと俺に見せるかのように動いていた

「もう、大丈夫です……口伝ではありますが、俺が伝えます
 神咲壱刀流のことを」
「ありがとう……それと、さっきの言葉嬉しかったよ」

 雪乃さんはそのまま俺の方に倒れ込むと
 胸の中で寝息をたてていた
 極度の緊張と疲れが、睡眠を催したのだろう
 しかし、壁が壊れてる……床も所々生えてる?
 ま、床板がはがれたんだな……直すの大変だぞ

「十六夜さん、雪乃さんは?」
「癒しはかけましたので、大丈夫だと思います……
 でも、剣は……」
「十六夜さんは知ってたんですね」
「はい、壱刀流は……神咲流の大本の流れであるものですから
 長き時の中で私は出来る人だけに教えてます
 暗殺と同じような剣術を……」
「そうですか……大変ですね」
「私は、守る者の牙となるために、霊からも守りたいし
 牙なき人のためにも守りたい……贅沢ですけど、それが本音です」
「俺だってそうですよ……だから」

 十六夜さんの指先が雪乃さんの頬に触れる

「雪乃を布団に寝かせませんか?」
「すみません、俺も少し休憩させてもらえませんか?」
「?? どうかしたのですか?」
「足ががくがくなんですよ……動けますけど、ふらふらになるかもしれないから」
「癒しかけましょうか?」
「大丈夫ですよ」

 十六夜さんが心配そうに聞いてくる
 可愛い寝顔の雪乃さんはやはり薫さんのお母さんだ
 そっくりだ……ただ、堅い感じは無くて柔らかな感じもする

「恭也くん……私は……」

 寝言か……何か小さく小さく呟いている
 分からないけど……俺はそれを良しとして受け止めると
 足に力を込める
 大丈夫だな……ならば

「十六夜さん、失礼します」

 十六夜さんの鞘は意外と近くにあり、十六夜さん自身が持ってきた
 軽いものらしく、俺が持つと……木材で出来た普通の鞘だった
 金属かと思ったけど、そうでもないらしい
 そして、俺は腰に十六夜を差す
 八景も差すと、雪乃さんを抱き上げる

「大丈夫ですか?」

 心配そうに聞いてくる十六夜さんに俺は大丈夫と答えると
 歩く……彼女の部屋が分からないので、俺はそのまま自分の部屋へと連れて行く
 途中で御架月の事に気づき、彼も腰に差す
 ま、途中で声をかけてくれたので助かった
 取りにくるというのは難しいし……
 俺は部屋に着くと彼女を下ろし、そして、横に座る
 立ち上がれないな……重くも無く、何処が骨か分からないような感じだったけど
 何とかつれてこれた
 って、ここにつれてきてどうこうも無いけど……




 道場の方では誰かが困った声をあげていた
 叫びに近いな……声からして楓さんと那美さんと薫さんかな?
 ま、分からなくもないが……
 ただ、俺はそのまま疲れで、協奏曲(叫び声)を聞いてる
 戦闘で体が休息を求めてるのだ……神速二段がけを二回も繰り返せばそうなるよな
 縮地対策で俺は二段がけしかないと考えていた
 ただ、それを二度もしていたので……疲弊している
 その疲弊を取る為に……そのまま俺は座ったまま寝るのだった










 つづく










 あとがき
 ふむ……守る剣だね
 シオン「守るかぁ……難しいね」
 そりゃそうだろう……
 ゆうひ「ま、でも、これの続編よく書けたね」
 そうだね〜自分も驚きだよ
 シオン「だね」
 ゆうひ「で、次回は?」
 というか、これがもうすぐ終わる
 シオン「はい!?」
 ゆうひ「嘘!!」
 いや、嘘じゃないって……それに、本当だから
 シオン「そうなんだ……残念」
 ゆうひ「というか、それってコレのシリーズで新しいのが……」
 出たらいいかな
 シオン「って、出たらって!?」
 実は難しいんだよ……
 ゆうひ「難しいの?」
 キャラによるネタがあまり無いから
 シオン「それって、遊び人がヘタレだからじゃあ」
 そうとも言うけどね……
 ゆうひ「じゃあ、頑張れば」
 そうは言うけど、これの次なんて考えてない
 シオン「アメリカ横断とかは?」
 誰がいるかわからないのにか?
 ゆうひ「ごめん、頑張ってとしか言えないわ」
 そういうことだ……だから、ゆっくりでも書こうかなぁって
 シオン「何を?」
 神咲編のほうだけど……
 ゆうひ「駄目でしょ、それはそれで」
 そうなのか?
 シオン「でわ、また〜」
 ゆうひ「もし、質問、こうしてほしいなどありましたら、メールでどうぞ」
 シオン「随時承ってますから」
 ゆうひ「ほなね〜」
 でわでわ〜(^^)ノシ



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