『壊れかけの剣士たち』




     〜第04話〜






これは『An unexpected excuse 〜沖田総詩編〜』に繋がるお話です。
原作がお好きな方はおススメいたしません。
それでもよろしければどうぞ






「とまあこういうわけだ」

恭也は話を終え満足したようだ。
総詩も当時の事を思い出していた

「懐かしいですね〜」

お茶を啜りながら一息入れる二人。
その光景になのはは苦笑いであった。

「(おにいちゃんもおねえちゃんも老後みたいなのです……)」

「今までの話を聞く限り、恭ちゃんよく生きてたね」

「そうですな〜。あの新選組は相当な使い手ばかりと聞いてますし〜」

「師匠も大変だったんですね……」

労いの言葉をかける妹たちであった。

「ああ、俺もよく生きてるなと自分で感心していたからな」

「あはははっ。事ある毎に恭也先輩の事斬ろうとしてましたからね、土方さん」

「というか半分は総詩の責任だろう……」

「ひどいですね〜w」

皆がそんな会話をしている中でこの人だけはなぜか俯いてプルプル震えていた。
気になった恭也がそちらに声を掛けようとしたとき

"スパコーン!!"

とスリッパで叩かれる音が鳴り響いた。
叩いたのは桃子、叩かれたのは恭也という構図だ。

「何をする、高町母よ?」

「何よ?!今の話は!!」

「だから俺と総詩の出会いを……」

「誰がそんなロマンのかけらもない事話せって言ったのよ!?」

「総詩との出会いについて話せと言ったではないか?」

「だから!!二人が付き合う事になった切っ掛けはどこにあったのよ!!」

「色々とあって、付き合うようになったんだ」

「そこを重点的に話しなさいよ」

恭也と桃子のやり取りを見つめる総詩であった。
そんな総詩になのはは声を掛けた。

「どうしたの?総詩おねえちゃん」

「なんでもないですよ〜。ただ恭也先輩は家族を見るときすごく優しい目するな〜って」

「はい!おにいちゃん、時々真面目な顔で嘘とかつくんですけど優しいのです」

笑顔で総詩の言葉を肯定するなのはであった。
晶・レンもなのはと同意見のようであった。
だが

「総詩さん、そんな事ないですよ」

総詩の言葉を否定する声が上がった。
いつも鍛錬という名の拷問を受けている愚妹である。

「だって私の事何かあるごとにすぐ殴るんですよ?
本とか投げてくるし、折角作った料理も褒めてくれないし、優しくもないし」

つらつら言いたい事を言う美由希である。
母子喧嘩の真っ最中の為、聞こえていないと思ってのことだ。
まあ料理に関しては誰も褒めないだろうが……。

「私がしてる庭の手入れをおばさんくさいって言うんですよ?自分の盆栽の方が年寄り向きなのに」

まだまだ出てくる出てくる。
湯水のように……。

「こんな可愛い妹になんてする人でしょうね!総詩さんもそう思いません?」

「……(;^△^)ア、ァハハハハハハ 」

「酷い兄もいたものだな」

「そうなんだよ。自分の事を棚に上げてさ」

「……お、おねえちゃん……」

なのはは美由希を止めようとするが無理のようだ。

「もっと優しくせねばいかんな……」

「本当ですよね、バチでもあたるんじゃないですか?あはははははっ!」

自分の意見に同意してくれる人に嬉しさを覚える美由希。
晶とレンはなるべく美由希の方を見ないように後ろを向いている。

「俺たちは関係ないよな……?カメ」

「そうやなおサル……。ウチらは何も聞かなかった」

なのはと総詩は常に苦笑い。

「困りましたね〜」

「はややっ」

桃子は懐から写真を取り出し祈りを捧げていた。
喧嘩がいつの間にか終わっていたのだ。

「士郎さん……美由希も立派に育ちましたよ」

とすると

「そんな風に思っていてくれたとはな」

「あはは…って(*´▽`≡;´△`)ええ!? 」

後ろを振り向くと兄がいるではないか!?

「今日の鍛錬は優しくしてやるぞ」

「ハハハ、ウレシイナー」

「そうだろ?優しく少しづつ切り刻んでやるからな?安心しろ、すぐに気を失わせるような事はしないからな」

そんなありがたくない言葉が放たれた瞬間、鋼糸でぐるぐる巻きにされ床に放置される美由希であった。

「ちょっとまってよ〜〜〜」

「まったく失礼な奴だ」

「あはははっ、恭也先輩あんまりいじめちゃ駄目ですよ〜?一応ボクの義妹になるんですから〜」

「総詩がそう言うならば、美由希鍛錬に行く前に解いてやるからな」

「ひどいよ!まだ随分先じゃない!!」

「解いてもらえるだけありがたいと思え」

「どこの世界に妹を鋼糸でぐるぐる巻きにする兄がいるんだよ!?」

「「ここにいるだろうが(ここにいますよ〜)」」

恭也と総詩は同時に美由希の質問に回答した。

「鬼、悪魔、変態、歩く女磁石、スケコマシ、八方美人……」

よくもまあ出てくるものだ。
先程あれだけ言ったにも関わらず……。
恭也は何を思ったか総詩に突然耳打ちを始めた。

「……それはいいんですかね〜」

なぜか苦笑いの総詩であった。
総詩に耳打ちした後、恭也は美由希を抱き上げた。

「……あっ///」

文句を言い続けていた美由希は顔を赤くして俯く。
恭也は美由希を抱き上げたまま移動する。
到着した場所は風呂場とよばれる場所。
その場所に気づくと美由希は慌てた。

「そんな、初めてはやっぱりちゃんとした場所で……。でも恭ちゃんなら……」

総詩がいる恭也がそんな事をするはずもないのだが、美由希は暴走する。
勝手な妄想をしている妹をお湯の張っていない浴槽におろし、なぜかガムテープでしっかり固定し始める恭也。
頭は浴槽から出ないようにしているのも何かあるのだろう。

「恭ちゃん、一体どんなプレイを?」

「きっと楽しいぞ ( ̄ー ̄)ニヤリ」

そう言うと水を入れ始める恭也であった。
それも少しづつ少しづつ……。
ちゃんと排水溝の栓もしめている。
つまり……。

「恭ちゃん……これって……」

「うむ、前に忍から読まされた推理マンガにこのような方法もあるとあったのでな」

まあぶっちゃけた話、水攻めというやつである。
あまり顔には出さなかったが、先ほどの事を怒っている恭也であった。

「ちょっと恭ちゃん、このままじゃ本当に死んじゃうでしょ!?」

「そんな事やって見なければわからんだろが!」

いや普通は死ぬぞ、恭也よ……。

「だが俺も鬼ではない。それに何かあったらなのはが悲しむかもしれんからな」

そう言うとシュノーケルを咥えさせる恭也であった。

「ふがーーー、んぐーーーー(はずしてーーー、出してーーー)」

「出たらちゃんと水止めろよ?」

そうして浴槽の蓋を閉める恭也であった。
身動き出来ない相手に水攻めして、自らその状態を解かせて水まで止めさせるのは鬼ではないのか……。




皆のいるリビングに戻ると、家人たちは待っていた。

「恭也先輩、お疲れ様です」

「ああ、本当に疲れた。これで静かになったな」

入れ直したお茶を挿し出す総詩。
それをしっかり受け取る恭也。
誰も美由希について何も聞かないのがまたすごい家である。
なのはは戻ってきた恭也がソファーに座ったのを確認すると恭也の膝の上に座った。

「なのは、いきなり膝の上に座るなと言ってあるだろう」

「えへへ〜」

注意しつつもなのはに甘い恭也である。
すぐになのはの頭を撫でてその行為を受け入れるのであった。

「ねえ、おにいちゃん。さっきの続き聞かせて?」

下から見上げるように話の続きをお願いするなのは。
そんな姿を見せられて拒否するような人間はこの家にはいない。

「さっきのあの話か?」

「うん、それからどうなったの?」

「色々な事があったぞ?
総詩だけでなく他の新選組の方々も楽しい人たちだったが」

「失礼ですね〜」

自分が楽しい呼ばわりされるのは心外だと抗議の声を上げる総詩であった。

「長くなるけどいいのか?」

「うん!」

「「はい!」」

待ちきれないとばかりに返事をする面々。

「OKよ。それと総詩ちゃんと付き合う切っ掛けも忘れずにねっ」

今度こそ馴れ初めを聞けるとワクワクする母。

「あはははっ、お義母さんも好きですね〜」

「だってこんな可愛いお嫁さんが来るんだもん!どうやって将来を誓い合ったか知りたいじゃない?」

「なのはもなのです」

「そんな風に言ってもらえると、嬉しいですね〜」

なのはの頭を撫でる総詩。
そんな光景を見ながら恭也は語りだした。

「そうだな〜。学園長に会ってみるとやはり歓迎はされなかったな……。
その後からまた大変だったが……」





恭也は再び語りだす。
あの学園での出来事を。
果たしてどんな事を経験したのか。
そして美由希は話が終わるまで生き延びる事は出来るのか!?




<終わり>



今回は再び現在に戻って、というお話か。
美姫 「みたいね。にしても、ここでも美由希の扱いが……」
さ、流石に可哀相になってきたかも。
美姫 「まあ、そんな事より」
そんな事って。
美姫 「再び語られる過去」
つまり、次からは総詩と仲良くなっていく話かな。
美姫 「後は学園での生活よね」
一体、どんなものだったのか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る