『壊れかけの剣士たち』




     〜第09話〜






これは『An unexpected excuse 〜沖田総詩編〜』に繋がるお話です。
原作がお好きな方はおススメいたしません。
それでもよろしければどうぞ





前回のお話

遂に運命の歯車が回り始めた(?)恭也。
初授業と初任務も何とか無事に終了し後は帰宅するだけなのだが。
果てさてどうなる事やら……。




学校も終わり屯所での会議も終わると新選組のメンバーは各自の部屋に戻り始める。
恭也も帰る準備を始めていた。

「さて、あと一時間もすればタイムサービスが始まるな」

とんでもなく主婦染みた事を言っている恭也であった。
まだ屯所にいた芹栖はその言葉を聞くと妄想を開始するのであった。

「高町先輩……そんな……私のために愛の手料理なんて……ああ、だめですそこは〜…… (///∀///)」

どんな妄想を爆発させているんだ芹栖……
帰る準備が終わり立ち上がろうとすると、ゲンちゃんが恭也の頭に飛び乗る。

「ゲンちゃん、俺は帰るのだが?」

「ニャーン!(僕も行くよ)」

「だが山はこれから夏と言っても冷え込むぞ?」

「ニャーン!(大丈夫)」

「そうか。じゃあ帰る前にスーパー行こうな」

「ニャー(うん)」

どうやら本当に二人(一人と一匹)は意気投合したようだ。
二人は一緒に屯所を出るとそこには伊織が立っていた。。

「恭、ちょっと一緒に来い。討学派でこれからお前の歓迎会をしてやる」

「歓迎会……ですか?」

「ゴチソウいっぱいだ、焼きそばパンもあるぞ」

焼きそばパンってご馳走なんだろうか……。
だが恭也はこれからの為にその申し出を断ることにした。

「お気持ちは嬉しいのですけども、これからタイムサービスがありますので……」

「ダメだ。お前を連れて行ったら報酬として焼きそばパン五個なんだ」

いつの間にか恭也の評価は焼きそばパン五個になっていたようだ。
伊織は恭也の腕を取り無理にでも連れて行こうとする。
伊織の瞳には焼きそばパンが映りこんでいた。

「あっ!待ってください伊織さん、高町先輩をどこに連れて行かれるつもりですか!?」

「……恭は連れて行くな……」

なんとか現実に戻ってきた芹栖と一緒にいた初音。
芹栖は疑問、初音は命令という性格がよく出る発言であった。

「コイツは焼きそばパンの為に連れて行く。その後たぶん、討学派の生徒たちにイロイロされるかもだが」

恭也はその言葉を聞いた瞬間冷や汗を流すのであった。
だがこの少女はというと……

「イっ、イロイロ!?色々って何ですか!なんかすごく気になる響きじゃないですか!そんなまだ
食事も済んでないのにそんなコトしていいと思ってるんですか!? (///∀///)」

「……食事後でもダメですよ、藤堂さん……」

だがこんな騒ぎを黙ってる生徒たちではない。
いつの間にやら恭也を挟んでにらみ合う佐学派と討学派。

「たしか寮内での争いごとは禁止ではなかったか、ゲンちゃん?」

「ニャーン!」

頭の上にいるゲンちゃんに確認をとる恭也。
そこに初音はフォローを入れる。

「……これは争いじゃない。ただのスキンシップ…」

スキンシップって両陣営がにらみ合う事を言うのだろうか……。

「……焼きそばパンのためだ。みんな、行け!」

伊織の指示で討学派の生徒たちは佐学派の生徒たちに突っ込んでいくのであった。
結局この展開ですか……。

「恭、こっちへ」

「させませんっ!えいっ!」

「やー」

「ん?」

恭也を連れて行こうとする伊織。
それをカットする芹栖。
なぜか恭也に抱きつく初音。
初音の行動が意味不明な恭也。

「恭、こっちへ」

「させませんっ!えいっ!」

「とー」

「んん?」

恭也を再度連れて行こうとする伊織。
それを再度カットする芹栖。
なぜか恭也に抱きついたまま声を上げる初音。
初音の行動が更に意味不明な恭也。

「とりあえず斉藤さん、離れてくれませんか?」

「……なんとなく、したかった……」

「そうですか」

そう言って頭を撫でる恭也であった。
まあなのはに抱きつかれているようなものだと考えているようだ。

「とりあえずこの場を離れましょう」

そう言って駆け出す恭也であった。
しっかり初音を抱えたまま……。

「あ、待て!」

逃げる恭也を追いかける生徒たち。

「まいったな……まだ付いて来るか」

まあ頭には猫、脇にはヒトではスピードも出ないだろう。
すると前方に面倒なのがいるではないか……。

「おっ、高まっつぁんやないか。どないしたんや?」

とりあえず無視してい先を急ぐ恭也たち。

「ちょっ!無視しないで〜」

「……は〜、追われてるんだ」

「そうなん?よっしゃ、任せときや!すぐそこの扉に入るんや、ワテのお気に……ホギャー!?」

言い切る前に初音がカンリュウサイを一機減らした。
メイド服でどうやって刀を出したんだ……?
初音の顔はちょっと赤かった。
その扉には"女子トイレ"って書いているのだから……。

「……助かりました、斉藤さん……」

「……別に……」

そこに土方も騒ぎを聞きつけやってくる。
一緒にカンリュウサイも……。

「歳緒はん、討学派がすぐそこまで迫ってきとるで!」

「何だと!仕方ない、カンリュウサイ青鈴だ!」

「ほいきた!」

「何ですか、あの鈴?」

「カンリュウサイは色のついた鈴を取る事でパワーアップする能力を持つんだ」

どっかで聞いたことある設定だが……。
すると思ったとおりスピードが上がるのであった。
確かに速くなっている。
だが普段やってる事を速くしているだけなので……。

「ひゃあんっ!今何かが足の間すり抜けていった〜。あとお尻触られたー!」

「きゃあっ!私胸揉まれた!」

まあいつも通りセクハラしまくってるわけだ。

「今のワテは誰にも止められへんで!よっしゃ、更にパワーアップや!!」

そう言うと青鈴をあと二つ追加するのであった。
それは神速にも匹敵するかもしれないスピードだ。

「ぐははははは!!……あ、曲がれな……!」

"ドゴォーンっ!!"

カンリュウサイは壁に頭からメリ込んだ。
つまりまた一機減るのであった。

「……何しに来たんですかね、カンリュウサイは……」

「……ええい仕方ない、ここは私が時間を稼いでやる。捕まったりしたら承知せんからな!」

「よろしくお願いします」

そう言うと土方にその場を任せまた駆け出す恭也であった。
何気に脇に初音を抱えたままで。
置いていけばいいのに……。




恭也が逃げ始めて早二十分。
少し恭也は焦り始めていた。

「タイムサービスまであと四十分……」

そんな事を考えていると前方にある扉が開くのであった。
"入浴場"と書かれたそこから

「あら、恭さま///」

と大きな洗濯籠を持った心が現れた。
どうやら洗濯をしてようだ。
恭也に会えて喜ぶ心であったが、すぐに持っていた籠を隠すのであった。

「……///」

恭也は籠の中身が一瞬だが見えてしまい真っ赤になってしまった。
まあ下着など見たら堅物の恭也ならこうなるだろう。

「すいません……一瞬ですが見えてしまいました」

「うふっ、恭也さまお気になさらずに。不可抗力ですから。それに恭也さまなら…///」

そう言われても恭也は顔を赤くしたままであった。
その姿に同じく洗濯をしていたのであろう討学派の生徒たちは

「高町くんかわいいな〜。今までクールなところしか見てなかったから尚のこと」

「それじゃ私も下着見せてあげよっか?高町くんだからト・ク・ベ・ツだよ?」

と更に恭也を赤くさせるのであった。

「……なでなで……」

小さくなっていく恭也を一緒にいた初音は慰めるのであった。
するとそこに助っ人(?)が登場した。

「恭、あたしの下着も見せたげようか?もっとも着物の下に何かつけるなんて無粋だよねw」

「見せる相手もいないのに沢山持ってんだ。見せるんじゃなくてやればいいじゃん?」

「なっ!?あんただってちょっとは気にしなよー!色気のある下着一つも無いじゃないのさー」

と出てきたのは間違いなくこの場を収める事はないだろうやちと紗乃であった。
だってすでに掛け合い漫才始めてるし……。
まあすぐにそれは終わってやっぱい争いが始まったのであった。

「斉藤さん、ゲンちゃん、とりあえず逃げよう」

「ニャーン!」

「……色々めんどいから賛成……」

そうして食堂に隠れる事を決める恭也たちであった。




「おー、ようやく来たがか?遅かったのう恭くん」

そこには討学派の生徒たちが集まっていた。
恭也の登場に拍手で迎える討学派の生徒たち。
どうやらここが歓迎会やる場所だったようだ……。

「一番来てはいけない場所だったようだな……」

「ニャーン」

「……疲れた……」

三人は一気に脱力したようだ。
目の前にはご馳走が並べられている。

「さあ高町さんこちらに。先輩の為にわたしたち腕によりをかけて料理作ったんですよ」

「そうなんです。お口に合うかわかりませんがよかったら」

「恭也さまジュースですがどうぞ」

「あの…お気持ちはうれしいのですが、俺は新選組の人間ですし(タイムサービスあるし)」

「まあまあとりあえずカンパイするぜよ。恭くんの編入を祝ってカンパーイ!」

「かんぱ〜い♪」

なんか聞き慣れた声が……。

「さあ恭くん、どんどん食べるぜよ。恭くんの為にこのご馳走用意したものやき遠慮はいらんぜよ」

「いえ、遠慮ではなく……」

なんとかそこから抜け出したい恭也。
ゲンちゃんと初音はその場のノリに合わせてはジュースを飲んでいた。

「もぐもぐ、そうですよ高町先輩、たくさん食べないともったいないですよぉ。
このお団子なんか特に美味しいですよぉ?」

「そりゃそうぜよ。これは全部恭くんの為に作ったもんやき、美味しくないわけないちゃ」

「恭くんたらモテモテね〜、もぐもぐもぐ。あ、コレおかわり〜」

なぜかみんな気づいていないが恭也だけは気づいていた。
なんだか場違いな人たちがいる事に……。

「……近藤さんも沖田さんも何やってるんですか」

そう、そこにはなぜか二人がいた。
さっきの追いかけっこで見当たらないと思ったらここにいたようだ。

「ん〜?わたしはいま五皿目のお団子食べてるけど〜?」

すごく幸せそうな顔で言うイサミ。
その状況に今気づいたのが討学派の生徒たちは一気に後ずさるのであった。

「ところで恭く〜ん?これって夕食前のおやつタイム〜?」

さすがはイサミ。
食べ物に関しては敵も味方も体重も気にしないようだ。

「おいしかったですぅ。とりあえずここにはこれ以上いられないのでそろそろ行きましょう?高町先輩」

そう言うと恭也たちの手を引く総詩。
しっかり恭也はゲンちゃんと初音もちゃんと抱えてる。
逃げるのを黙って見ているわけにはいかない討学派はすぐに追いかけ始める。
イサミだけは

「待ってよ〜。あ、これとそれとそれ。包んでもらってよろしいですか〜?」

と素晴らしい食欲である。
まああとでまた体重計と格闘する事になるのは皆気づいていたらしいが。
廊下に出ると先ほども追いかけっこをしていた生徒たちが迫ってきているではないか。

「あははは、高町先輩大変ですねぇ」

「はぁ、いい加減間に合わなくなりそうだ」

そう恭也が漏らすと

「……恭、降ろして……」

と初音が要求してくるのであった。

「……恭、行け。ここは私が守ってやる……」

そう言うと初音が恭也の前に出る。

「斉藤さん?」

「……初音……」

「?」

「……初音でいい。あと普通に喋れ……」

「……言葉使いは汚くなるが、いいのか?」

「……うん……」

「じゃあすまないが頼むな、初音」

「……まったく恭は世話が焼けるな……」

そう言うと滅多に笑顔を見せない初音が笑うのであった。
そして迫ってくる一団に向かっていくのであった。

「あの斉藤さんが笑いましたねぇ。高町先輩愛されてるんですねぇ」

「そんな事はないと思いますが?」

「あははは、ボクも総詩でいいですよぉ。斉藤さんだけなんてずるいじゃないですか。
ボクも恭也先輩って呼ばせてもらいますからぁ」

「わかった、総詩も悪いが任せるぞ」

「はい〜」

「ゲンちゃん行くぞ!」

「ニャーン!」

そう言って逃亡を再開する恭也であった。
恭也の背中を見ながら総詩も討学派の追ってに向かい合うのであった。
そんな中でもイサミだけは食べ物を包んでもらい続けていたとか……。




新選組のおかげでスーパーに向かうことが出来た恭也。
果たして恭也はこれからあるであろう戦いに勝つことが出来るのだろうか?
次回に続く!……はずだ。





<おわり>



急いで帰宅……かと思いきや。
美姫 「任務も終わって帰宅するだけのはずが、やっぱりというか騒動が起こったわね」
にしても、急ぐ理由がタイムサービスとは。
美姫 「剣士としてよりも、主夫として活躍しそうね」
あ、あははは。まあ、何はともあれタイムセールには間に合ったみたいだし。
美姫 「初音とも仲良くなったみたいだしね」
次回は何が起こるんだろうか。
美姫 「次回も待っていますね〜」
ではでは。



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