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 昼食も食べ終わり(結局瞳子さまはわたしのコロッケを食べてしまったのですが・・・)お弁当をしまっていると、「そうそう、千鶴に手伝って欲しい事が有るのだけれどよろしくて?」と瞳子さまが突然おっしゃり驚いたわたしは、「あ、あの・・・それはどういったご用件なんですか?」と答えると、「千鶴は『わたしの事が良く分からない』から返事が出来ないって言ってたわよね?」と言い続けざまに「だからわたしの事を知ってもらうにはこの方が手っ取り早いと思ったから誘っているのよ」とおっしゃったのだ。
 
 わたしは断る理由(部活等に所属していなかった為)が無く、それにここで断ったら瞳子さまとの接点がなくなってしまう気がしたので、不安ながらも着いて行く事に決めたのだが、それが間違いだったと気付いたのは後の祭だった訳なのですが・・・
 
 「あっあの」
 
 「どうしたの、早く入りなさい」
 
 「でも・・・ここは、その・・・」
 
 わたしは前に立っている瞳子さまを見詰め、そしてその後ろに聳え立つクッキーの形(噂通りだなぁ・・・と関心しながらも)の扉を見詰めながら答えると、瞳子さまは眉をピクピクさせ、わたしの腕を急に掴むと「良いから入りなさい!!」と強引に扉の前に立たせたのだ。
 
 わたしは意を決して取っ手を握ろうとした瞬間、取っ手が遠のき驚いたわたしは急いで掴もうとしてしまい、前につんのめるような感じで勢いよく入ってしまったのだ。
 
 そう、全学生の聖地である生徒会室に・・・
 
 「うわっ!!」
 
 何で急に扉が開くのよう〜っと思わず叫びそうになる瞬間、目の前が急に暗くなった。
 
 わたしは倒れると思っていたので、とっさに手を前に出して痛みを分散しようとした体勢をとったのだが、痛みが全然来ない事に不思議になった。
 
 痛みより何故だか柔らかい感触が私を包んでいる気がしたのです。
 
 「あれ・・・なんで?」
 
 「えっと、そろそろ離れてくれないかなぁ?」
 
 その声はわたしの直ぐ近くから聞こえてきたのだ。
 
 わたしはゆっくりと目を開けると目の前には女性特有の柔らかいものが・・・
  
 「えっえっえっ?」
 
 顔を上げるとそこには見覚えのあるお顔がわたしを見詰めていたのだ。
 
 「ロっロサ・キネンシス!!」
 
 「ごきげんよう」
 
 「ごっごきげんよう!!」
 
 何でわたしの目の前(と言うか鼻先)に全生徒の憧れの存在紅薔薇さまがいるのか、驚きの余り思考が止まってしまっていたのだ。
 
 「それで離れてくれないかなぁ?」
 
 「すっすみません、直ぐ離れます」
 
 わたしは多分今まで生きていた中で、これほど素早く離れた(動いた)事は無いであろう動きを見せたのだ。
 
 ロサ・キネンシスは今のわたしの動きに驚いたようで目をパチクリしていたのが今でも鮮明に思い出せる事が出来るほど記憶に残る思い出となったのです。
 
 「それで瞳子ちゃん、この子はどなたなのかしら?」
 
 ロサ・キネンシスは、わたしから目線を外すと後ろに立っている瞳子さまに向かって話し掛けたのです。
 
 「お姉さま、紹介いたしますわ」 
 
 ここぞとばかりに大きく一歩前に(大袈裟かも知れないけど、その時のわたしにはそう見えたのです)進み腕を腰に回すと、まだ立ち上がっていないわたしの肩をつかみ、こう叫んだのです。
 
 「わたしの妹になる(予定の)佐伯千鶴ですわ」
 
 予定だけは直ぐ近くにいるわたし以外には聞こえないほど小さな声でおっしゃったおかげで、ロサ・キネンシスやその他の薔薇さま方やつぼみさまは、わたしが瞳子さまの妹つまりロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スールとして此処『薔薇の館』に来て、お姉さまである祐巳さまに紹介されていると言う状況だと気付いたわたしは素早く立ち上がり『瞳子さま!!冗談が過ぎます!!』と叫ぼうとしたとたん、「へ〜〜、この子が瞳子の妹か〜〜」と、いきなり声が後ろから聞こえた為びっくりして息を詰まらしてしまったのだ。
 
 「ふ〜ん・・・瞳子ちゃん、この子え〜と千鶴さんだっけ?が、あなたの決めた妹なのね?」
 
 「そうですわ、お姉さま」
 
 瞳子さまと祐巳さまが向かい合うように話してる向こうでは・・・
 
 「意外と早かったわね・・・連れて来るの」
 
 「由乃さんもそう思う?」
 
 「ええ、だってあの瞳子にこんなに早く妹が出来るなんて誰も思わなかったでしょ?」
 
 「それもそうだけど・・・」
 
 由乃さまと志摩子さまがお二人でなにやら盛り上がっていたのだ。
 
 「千鶴さん、瞳子ちゃんの言ってる事に間違いはないのよね?」
 
 「お姉さま!!」
  
 「瞳子ちゃんはちょっと黙ってて、今大事な事を聞いてるんだからね」
 
 「・・・はい、お姉さま・・・」
 
 諭すように言うと瞳子さまは諦めたような表情で静々と下がって行ったのです。
 
 「それでどうなの?」
 
 「あ、あの・・・」
 
 わたしは一度だけ瞳子さまを見詰めると、瞳子さまはジッとわたしを見詰めていたのだ。
 
 「瞳子さまのおっしゃった事は・・・その・・・」
 
 答えに詰まっていると、祐巳さまはわたしの頭を軽く撫でると瞳子さまの前に立ち無言で向かい合ったのです。
 
 「瞳子ちゃん・・・言いたい事分かるよね?」
 
 「・・・はい」
 
 「瞳子ちゃんは千鶴さんの事を本当に思っているの?」
 
 「ええ、その事に偽りはありませんわ・・・」
 
 「千鶴さん、あなたは瞳子ちゃんの事はどう思っているの?」
 
 「わたしは・・・その・・・」
 
 「深く考えないで、好きか嫌いかだけで良いわ」
 
 それなら考えなくても直ぐに答えられると思い、はっきり言いました「好きです」と・・・でも、それがいけなかったか弱弱しく崩れかけていた瞳子さまの瞳に輝きが戻ると同時にわたしに駆け寄るとハッキリと宣言したのです。
 
 「千鶴を絶対に妹にして見せますわ!!」
 
 わたしは頬を引き付かせると同時に「え〜〜!!」っと叫んでいたのです。





 大変遅れてしまい申し訳ありませんorz
ようやく第三章 第四話を送る事が出来ました・・・遅すぎる〜〜
 これで第一日目が終った訳なんですが、こんなペースで後六日間書くのだろうか・・・頑張らねば!!
 今回は、朝・昼・放課後と書きましたが、次回からは朝・昼・放課後のどれかをメインに書いていく予定です。
 では、また次回に・・・「ごきげんよう♪」


おお〜、面白い事になってる〜。
美姫 「しかも、祐巳ちゃんが、何かとてもしっかりしてるし」
ちーちゃんの戸惑いを見抜く何て…。
美姫 「うんうん。立派に成長して。流石は紅薔薇さま」
さて、瞳子の姉妹にします宣言が飛び出した訳だが…。
美姫 「果たして、ちーちゃんの日常はどう変わっていくのか」
次回も楽しみ〜♪
美姫 「もうすぐコタツが恋しくなる季節。やっぱり、日本人ならコタツにみかんだよね〜」
と言いながら、みかんをむきむきしつつ、次回を待て!



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