『An unexpected excuse』

   〜スカーレット姉妹編〜




「俺が、好きなのは…………」



皆息を呑み恭也の言葉を待つ。

しかし何時になっても言わない恭也。

中々言わない恭也を焦らしてるのだと思い、



「ほら、恭也言っちゃいなさいよ」



と、忍が先を促すが当の恭也と言えば、



「………………………」



黙り込んでいた。

いや、黙り込むと言うより何か考えこんでいるだった。

恭也のその状態に気付いたのか、付き合いが(自称)誰よりも深い(自称)内縁の妻の忍が、



「ねぇ、恭也は好きな人は居るんでしょう?」



と、助け舟を出した。



「あぁ………」



恭也がそう言うと、FC+α(忍を除く)が絶叫を上げた。



「だけど好きなんだけど、どうすればいいか分からないんだよね?」

「あぁ」



恭也はそう言うと胸の内に秘めた思いを吐き出した。



「俺には好きな人が居る、だが一人ではない」

「誰にすればいいか分からないんだね?」

「あぁ」



その答えに満足したのか忍は、



「じゃあ皆を好きになればいいじゃん」

「なに?」

(((((えぇーーーーーーーーーーーーーー!!!)))))



忍の言ったことに驚き、恭也はどう言う意味か尋ねようとしたが、



「おい忍、それはどう言う「恭也ーーーーーーーーーーーーー!!!」ってガハァ!」



突如フライングボディアタックを決めた少女によって中断された。



「恭也〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」



そのまま恭也を押し倒し馬乗りになり恭也に頬擦りをする少女。

行き成りの衝撃に軽く気を失った恭也。

行き成りの展開についていけない忍達は呆然としていた。



「フラン?何をしているのかしら?」



ふと声がかかった方を見てみると、其処には紅の古風なドレスを身に纏った少女が物凄い笑顔でこちらを見ていた。



「お姉さま邪魔、あっち逝って」




ビキッ!




その言葉に紅のドレスを着た少女の額に青筋が立った。

それより、逝って、っておいおい(汗



「フラン?誰にものを言ってるのかしら?」



もう一度優しく言うが、



「だから邪魔、それとも長く生き過ぎて耳が遠くなっちゃった?おばさん」





ビキビキッ!

――――――ぷちん





青筋が増えたかと思ったら今度は何かが切れたような音が響いた。



「………小娘が、誰にものを言っているか分らせてやる」

「ふんっ、おばさんなあなたに出来るかしら、レミリアお姉様?」



辺りに剣呑な空気が流れる。

因みに忍達は危険を察知したのか、既に避難している。

紅のドレスを着た少女、レミリアは手に何やらカードの様なものを指に挟んで持っていた。

対するフランは恭也から離れ、レミリアと同じく指にカードを挟んで持っていた。

辺りを静寂が包むなか突如二人の少女たちが手に持つカードを掲げてその”名”を宣言した。



「神槍”スピア・ザ・グングニル”!」

「禁忌”レーヴァテイン”!」



二人の持つカードが突如光を放つと少女達の手にカードは無かった。

レミリアの手には紅い槍が。

フランの手には紅い剣が。

少女たちは手にもつソレを振り上げると――――――



「死んじゃえぇーーーーーーーー!」

「小娘が!格の違いと言う物を分からせてやる!」



己が得物で殺陣と言う名の舞踏を始めた。










ギィインッ!

ガァアンッ!

ギギギギ!

ズガァアンッ!









二人が近づけば得物により命を刈り取らんとしようと紅と紅が迫り、ぶつかり合い、紅い火花を咲かしていき。

二人が離れれば己が魔力の弾丸で相手を穿とうとする弾の応酬が始まり、凄まじい弾幕劇が起こる。

その為、辺りは既にボロボロで、地は捲れるはで凄まじいの一言に尽きた。

当然そのなかで眠っていた恭也が眼を覚まさないわけが無く――――――



「――――――ん?ってうおっ!」



眼を覚まし、辺りの惨状に驚いた。



「………………(ハァ)」



その光景に慣れていたのか慌てることなく、そして何時もの事の様なため息をつき――――――

――――――ポケットに手を入れ。

――――――レミリア達と同じくカードを出し。



「神速”刹那”」



カードを宣言した。

するとそこに恭也の姿は無く、周りを見るとレミリア達の得物を取り上げている恭也の姿があった。










「………………で?一体コレはどう言うことなんだ?」



頭にたんこぶを一つずつ頭に付けたレミリア達を正座させ、恭也は事情を聞いていた。



「え、えぇ〜と、」

「そ、それは〜」



二人はどう言うか頭のなかで必死に言い訳を考えていた。



「(ちょっと、どうするのよ?)」

「(そんなこといわれても〜)」



二人は小声で相談を始めた。



「(姉様がいってよぉ〜)」

「(なんで私なのよ)」

「(だって姉様が先に手を出してきたんじゃない)」

「(な!?先に言い出したのはあなたでしょう!)」

「(そんな事関係ないもん、全部姉様が悪いんだもん)」

「なんですってぇ!」

「なによ!」

「………………二人とも」










ゴンッ!×2










頭のたんこぶの数が一つ増えたレミリア達に、再び恭也は事情の説明を促した。



「………………で、こういう有様になったと言うわけか」

「「は、はい」」



二つ目のたんこぶが痛かったのか、二人とも涙眼ながら頷いた。



「………フラン、何でそんな事言い出したんだ?何時ものお前ならそんなこと言わないだろ?」



恭也は優しく語り掛けるようにフランに言った。


「………………だって、恭也、どちらか選べないって言ったもん」

「「?」」

「もし、恭也が私を選んだらお姉さまは選ばれないもん、そしたらお姉さま寂しい思いをすることになるし」

「フラン………」

「それでお姉さまが選ばれたら私、また一人ぼっちだもん」

「………………」

「お姉さまをそんな思いにするのなら、また一人ぼっちになるのなら、私が居なくなれば恭也はお姉さまを選ぶしお姉さまも寂しい思いしなくてもいいし………」



恭也はソレを聞き忍の言葉を理解し、それと同時に嘗てどちらかしか選べないと言った自分を殺してやりたくなった。



(フランがこんな思いを抱いてると気付かなかったのか、俺は!?)



「………………フラン」



恭也はフランを抱きしめた。



「恭也?」

「………すまなかったフラン、お前がそんな思いを抱いてるなんて気が付かなかった」

「きょ、恭也は悪くないよ!私が悪いんだから!」



恭也はフランから身を離し、レミリアとフランを見据えた。



「レミリア、フラン、俺はお前たちが好きだ」

「「ッ!!」」

「俺はお前達をどちらかを選ぶなんて真似はしない、二人とも俺は選ぶ」

「「恭也………」」

「例えその事に異を唱えるやつが居れば俺は斬り捨てよう、俺の力で」

この、奪い、斬り滅ぼす力で。



「俺はどんなことがあろうと、どれだけの月日が流れようと、俺はお前たちの傍に居る」



「俺はどんなやつからでもお前たちを護ってみせる」





「俺はお前たちを愛している」

「恭也………」

「恭也」







後に、ある屋敷には手を出すな、出せば双剣を担う剣士に必ず殺される、と言う噂が流れていた。











<おわり>









あとがき

WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!堕神刹那です。
直正「アシの直正です、って言うかその挨拶やめろよ」
いいじゃないか、俺が気に入ってるんだし。
直正「そう言う問題じゃないんだが」
それに此処で明るくしないと暗い作品になるからな。
直正「ちゃんと長編書いてるみたいだしな」
ただ、内容が暗すぎるんだよな。
直正「お前の性格を現してるんだろ」
俺はそんな黒くねぇ!





真面目にあとがき


今回のスカーレット姉妹編は+パルック+さんのリクによって出来た作品です。
私宛にリクが来たら無茶苦茶じゃない限り書かせていただきます。
今回のスカーレット姉妹編ですが、フランが孤独に為るのが嫌というのがメインな感じです。
因みに恭也の能力ですが、不破名の下に作らせていただきました。
では、今回はこの辺で、次回また読んで下されば幸いです。またお会いしましょう、さようなら。







校内で何て激しい攻防をしてるんだろうか。
美姫 「あのまま恭也が目を覚まさなかったら間違いなく巻き込まれていたわよね」
恐ろしいな、おい。
美姫 「今回も投稿ありがとうございました」
ました〜。



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