「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「せぇぇぇぇぇぇぃ!!!!」
とある昼下がり……高町家の庭の道場で、二つの叫び声が響く。
「づぁぁぁぁぁぁっ!!」
道場の中には一人の青年と二人の女。
その中の青年と女一人が互いに剣を打ち合っている。
「迫力だけは一人前ねぇっ、恭介っ!!!!」
女の方が青年の名前を叫びながら衝撃波を打ち放つ。
「ぐぉっ!! ってぇ……なんで普通の木刀から衝撃波なんて出せるんだよ、ノイン姉さんっ!!」
恭介と呼ばれた青年は少々距離を開けながら叫ぶ。
「実力の差よ、実力の」
ふふんと、勝ち誇った笑みを見せるノインと呼ばれた女性。
「くそっ、ならこっちだって……」
言って、恭介は右腕を折りたたんだ鳥の羽根のようにし、左手を突き出す。
「射抜……ねぇ。 ならこっちもそれなりに本気出そうかしら」
言って、ノインも持っていた木刀を逆手に持つ。
「げっ、何でノイン姉さんが薙旋の構えなんて……」
「ふふん、あんたよりは父さん達との付き合いは長いからねっ」
言って、ノインは駆け出した。
「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
それに遅れること数瞬、恭介も駆け出す。
御神流・裏 奥義之参 射抜
御神流最速、そして最長の奥義が放たれる。
「見よう見まねぇっ!!!」
御神流 奥義之睦 薙旋
ノインの叫びと共に高速で4連撃が放たれる。
そして、二人の奥義は同時に放たれて……
お互いの木刀を吹き飛ばした。
「っうぅ……」
ぶつかり合った衝撃でしびれる腕を押さえる恭介。
「ったく、あんたの馬鹿力には敵わないわね」
言って、自分も手首をさするノイン。
「お疲れ様、ノイン、恭介」
そう言って、近づいてくるもう一人の女性。
「お姉様」
「フィーア姉さん」
同時に、その女性の名を呼ぶ。
「また腕が上がったみたいね、恭介」
少し微笑んで、フィーアが恭介に言う。
「フィーア姉さんの目にそう映ってたんなら、嬉しいかな」
ちょっと頬を赤くしながら言う恭介。
「……ていっ!!」
「うがっ!!」
そんな恭介の後頭部をはたくノイン。
「なっ、何するんだよノイン姉さん!?」
頭を押さえながらノインに言う恭介。
「デレデレしすぎ、お姉様に色目を使うなんて死んでも早い」
強烈に殺気を恭介にピンポイントで放ちながら、ノインが言う。
「色目って、あのなぁ……」
「言い訳は認めないわ」
呆れたように言う恭介に、ノインはさらに殺気をまして言う。
「恭介、先にシャワーを浴びてきなさい」
そこに、フィーアがゆっくりと恭介に言う。
「あぁ、そうするよ」
そう答え、恭介は道場を出て行った。
「恭介ぇっ、私も入るんだから綺麗にしときなさいよね」
出て行く恭介の後姿にノインがそう言い、恭介は手を振る。
「……ねぇ、ノイン」
恭介が出て行ったのを見計らって、フィーアがノインに声を掛ける。
「どうしたの、お姉様?」
少し様子がおかしいフィーアに、ノインは首をかしげながら尋ねる。
「施設に居た頃……私達は、姉妹だったわよね?」
真剣な目になって、フィーアはノインに尋ねる。
「それがどうかしたの?」
フィーアの問いに、ノインは逆に問い返す。
「最近ね、夢を見るの…ううん、夢なんかじゃないわ…記憶は覚えていなくても、体が覚えている感覚が、あるもの」
「どんな内容なの?」
心配そうな表情で、ノインが尋ねる。
「二人の男の子と、私が一緒に訓練しているの……それ以外にも、遊んだりもしているのよ」
「男の子……おかしくない、それ?」
ノインは少し笑って、言い返す。
「私達は生まれた時からずっと姉妹よ? 男なんて、あそこには研究員ぐらいしか居なかったじゃない」
それに、研究員もみんな大人だと、付け足す。
「そうなのよ、それなのに……私の体はその二人を覚えているの……凄く、親しい人達だったんじゃないのかって」
何処か遠い目をして、フィーアがいう。
「今までは、そんな夢なんて見なかった……ここ数日、急に見出したの」
ノインに視線を戻し、フィーアは言う。
「また、何か良くないことが起こるんじゃないか……そんな気が、するわ……」
立ち上がり、道場の窓から空を見る。
「一雨、きそうね」
隣に立ったノインが、ポツリともらす。
「来るわね…………―――――――
―――――――…………嵐が」
あとがき
斜陽第2期シリーズプロローグの二つ目でした。
フィーア「今回はフィーアサイドね」
うん、そして新キャラとして恭也とフィリスの息子登場。
フィーア「一応第1期シリーズから20年後だからね」
そして、フィーアとノインの詳しい容姿は第2期人物設定でご紹介します。
フィーア「ところで、前回言ってた3つ目のプロローグはどうするのよ?」
ただいま目下製作中。
フィーア「今度は誰なわけ?」
誰というか、時間を過去に戻します。
フィーア「今回のフィーアの夢とかと関係あり?」
それはまだいえませんが……
フィーア「まぁ、楽しみにしておいてくださいってことね」
そういうこと。
フィーア「ではでは〜〜〜」
何やらきな臭い〜。
美姫 「一体、何が起こるのかしらね」
ワックワクのドッキドキ。
美姫 「本編が始まるのが待ち遠しいわね」
その前に、プロローグ3があるみたいだけれどね。
美姫 「今度のプロローグは、どんなのかしら」
これも楽しみだ〜。
美姫 「次回も楽しみにしていますね」
ではでは。