それは、いつもと変わらない夕食の席でのことだった……

「母様、少々後日時間が空いていますか?」

持っていた茶碗と箸をおいて、フィーアがフィリスに尋ねる。

「そうね……次の日曜日だったら一日中空いてるけど、どうしたの?」

自分も持っていた茶碗をおいて、フィリスがフィーアに尋ね返す。

「少々母上に教えてもらいたい事がありまして」

「ここじゃ駄目なの?」

フィリスの問いに、フィーアは恭也をチラッと見る。

「どうした、フィーア?」

その視線に気づいた恭也がフィーアに尋ねるが、フィーアは首を振る。

「ここでは少し……」

「そう? だったら後でフィーアの部屋に行くわ」

フィリスの言葉に頷いて、フィーアは立ち上がって台所を出て行く。

「父さん……お姉様に何かした?」

箸を咥えながら、ノインが恭也に尋ねる。

「いや、覚えがないが……」

少々考えながら恭也は答える。

「でもあからさまに父さんから視線をそらしてたし……はっ、まさか父さん……お姉様に手を出したんじゃぁ……」

自分で言いつつ、苛ついたのか。 ノインは立ち上がる……箸を咥えたまま。

「母さんというものがありながら自分の娘に欲情するなんて最低よっ!!」

ビシッと、ノインは恭也を指差す……しつこいが、箸を咥えたまま。

「だから、そんなことはしていないと……」

そこまで言って、恭也の横から絶対零度を超える寒い……視線が、来る。

「ごちそうさま〜〜〜」

それを見たノインはいち早く何事も無かったかのように台所を出て行く。

箸だけは咥えていたのでシンクにほりこんでいった。

「恭也、お話があります」

「…………はい」

この後、恭也が誤解を解き、ノインの言った事が嘘だと証明されるのに1日以上かかったという……

追記、この日二人の部屋からは聞いてはいけないような声も聞こえていたとか……

 

 

 

 

 

 

感謝の気持ちを伝えたい

 

 

 

 

 

これは私が書いた【Especial Friend】の2ヵ月後のお話です。

設定は余り前回から変わっていませんので。

オリキャラがメインなのでそういうのが嫌いな方はお勧めできません。

ではでは〜〜〜

 

 

 

 

 

結局、その日にフィリスは諸事情によりやってこなかったので次の日の夜である。

「で、何を聞きたいのかしら?」

「はい母様、チョコレートを作ってみようと思いまして」

おずおずと、フィーアはフィリスに言い出す。

「あら、フィーアにもついに好きな人が出来たの?」

どこか嬉しそうに、フィリスは答える。

「いえ、その……父様に、差し上げよと思いまして」

少し恥ずかしそうに、フィーアは言う。

一瞬、フィリスの脳裏に昨日のノインの言った言葉がよぎる。

「父様と母様には、言葉に出来ないくらい感謝しています……こんな私を、救ってくださった事……」

「フィーア……」

「だから、感謝の気持ちを表せる機会があればと思っていました……そこで、真雪さんが言ってくださったんです」

真雪、その人物の名前を聞いた瞬間、フィリスは何か余計な事を言ったのでは、と心配する。

だが、真雪はことフィーアのことには真面目に答えている。

だから、心配などはないのだが……

「始め、真雪さんは私の体にリボンをつけて、私がプレゼントといえば大丈夫だといわれたんですけど……」

しかし、フィリスはその言葉を聞いて肩を落とす。

むしろ、余りに予想できた考えに脱力したといってもいい。

「その時に、ちょうど薫さんも来ていまして、薫さんに尋ねると顔を真っ赤にしてそれは違うといわれて、そのまま真雪さんを追いかけて行ったんです」

容易にその時の光景が思いつくフィリスは、小さくため息をついた。

「そうね、だったら一緒に作りましょうか?」

「はい、母様の都合がよければお願いします」

フィリスに礼を言って、フィーアは立ち上がる。

そして、徐に部屋の入り口ともなっている障子を開ける。

「あっ……」

そこには、フィーアが予測した通りノインがいた。

「フィンを展開して、気配を消してまで、どうしたの?」

フィーアの言葉にちょっと気まずそうに、ノインはから笑いしながらフィンを消す。

「いやぁ、お姉様と母さんの会話が気になって……」

カリカリと、指で頬をかいて、ノインは言う。

「別に変なことを話してたわけじゃないのよ」

それを見たフィリスが苦笑しながらノインに言う。

「ふ〜ん、ああそうだ。 とりあえず、お姉様が父さんに聞かれたくなさそうだったから父さんは送っといたから」

「は? 送っておいた?」

ノインの言葉に、フィリスは首を傾げる。

「さっき真雪に電話して、父さんが行くから宴会の用意でもしておいてって連絡したら二つ返事でOKしてくれたから直接転送したの」

その言葉に、フィリスから血の気が引いていく。

「ノッ、ノイン! すぐに恭也を呼び戻してっ!!」

そして、凄まじい形相でノインに詰め寄るフィリス。

「どうしたの、母さん?」

あまりの慌てぶりに、ノインは不思議になって尋ねる。

「母様、ノインは比較的真雪さん達と一緒に騒ぐ方なので、父様が受ける被害の事を知らないんですよ」

小さく笑って、フィーアはフィリスに言う。

「母様、私が連れて帰ってきます」

言って、フィーアはフィンを広げ、さざなみ寮を思いうかべる。

「お願いね、フィーア。 すぐに連れて帰ってきて」

頷いて、フィーアは跳んだ。

「はぁ……全く、あなたは」

こめかみを押さえながら、フィリスはノインに言う。

「まぁまぁ、そうだ母さん。 私にも、教えてよね」

部屋から出ようとするノインは少しだけ振り返って、フィリスに言う。

「なにを?」

キョトンと、フィリスは首を傾げる。

「チョコレートの作りかた」

指を一本立てて、ノインはそう言って部屋を出て行った。

 

 

 

ブゥン、と空間がぶれる。

そして次の瞬間にはさざなみ寮の前に立っていた。

そして、フィーアはインターホンを鳴らす。

「は〜い」

そこから、返事の声が聞こえ、ドアが開く。

「あら、フィーアちゃんじゃない。 どうしたの?」

出てきたのは海鳴商店街で動物病院を営む、ここの管理人の妻でもある槙原 愛だった。

「愛さん、夜分遅くにすみません。 父様を迎えにやってきました」

ぺこりと頭を下げて、フィーアは用件を言う。

「あぁ、恭也くんね。 今真雪さんとリスティに絡まれてちょっと大変なのよ」

少し困った顔をして、愛はフィーアに言う。

「かまいません、あがらせてもらってもいいですか?」

「ええ、いいわよ」

愛の答えを聞いて、フィーアは寮内へと入っていく。

そしてすぐさま、強烈な酒の匂いが鼻をさす。

だが、もう慣れたのか……フィーアは気に留めずにリビングへと歩いていく。

そして、そこには予想された光景が広がっていた……

「はっははは、さぁ飲め飲め!」

一升瓶片手に、恭也の首に腕を回して真雪が叫ぶ。

「そうだぞぉ、恭也っ!」

その反対側では、同じようのリスティが叫んでいる。

リビングのソファにはすでに被害にあったであろう那美や他の寮生がぐったりとしていた。

酒にはそこそこ強いであろう耕介や奈緒も、少しぐったりとしている事からどれだけの量が消費されているかが判る。

「おっ、フィーアじゃないか。 さっき少し反応があったんでノインかどっちかかなと思ったよ」

「リスティ姉様、少々飲み過ぎなのでは?」

苦笑しながら、フィーアはリスティに言う。

「大丈夫だって、明日は仕事もないしね」

フィーアに答えながら、リスティはまた一杯酒を飲む。

「とにかくですね、母様からの伝言で父様を迎えにあがりましたので、そろそろ父様をお返しください」

一番恭也に絡んでいる真雪に対して、フィーアは言う。

ちなみのその恭也はというと、半グロッキーな状態である。

「しゃぁねぇな、フィーアの頼みじゃなぁ」

やれやれといって、真雪は恭也を離す。

「真雪さん、ありがとうございます。 お礼に今度、お付き合いしますから」

「おぉー、そん時はまた酌でもしてもらうよ」

フィーアの言葉に、真雪は嬉しそうに答える。

「父様、大丈夫ですか?」

真雪から受け取った恭也に肩を貸しながら、フィーアは尋ねる。

「フィーアか……すまんな、かなり、飲まされた……」

言葉の節々から、恭也が一体どれほど飲まされたのかが読み取れる。

「では、皆さん。 またお伺いしますので」

フィーアはそう言って、フィンを広げ自分の家を思い浮かべる。

そして、自宅へと跳んだ。

 

 

 

ブゥン、と高町家の居間が一瞬ぶれる。

「お帰り、フィーア、恭也」

そこにはフィリスがいて、二人に声をかける。

「はい母様、父様……家ですよ」

「すまんな……」

恭也はそう言って、居間の椅子へと座り込む。

「随分、飲まされたみたいね」

薬と水を持ってきたフィリスが、恭也に言う。

「あぁ、お陰で頭がかなり痛いな……」

苦笑しながら恭也は言って、フィリスから受け取った薬を飲む。

「では母様、父様、おやすみなさい」

「えぇ、おやすみフィーア」

フィーアはそう言って、自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

次の日、案の定恭也は軽く二日酔いになっていた。

痛む頭を押さえながら、現在の仕事場である場所、自分の母が運営する喫茶翠屋に向かった。

フィリスも支度をして、病院へと出て行った。

そして、恭也とフィリスがいなくなった家の居間で、フィーアは一つの雑誌を広げていた。

桃子から貰った、お菓子の作り方や、色々なお菓子が載っている本である。

その本の中身を見ながら、どんなチョコレートを作ろうか考えるフィーア。

(父様は確か甘いものが苦手だといっていたから、このビターのチョコレートにしようかしら……でも、父様は和贔屓だから、この抹茶チョコレートもいいかな……)

まるで好きな男性に渡すチョコレートを吟味している少女に見えなくもない。

実際に、そんな男がいれば恭也が黙っていないと思うが……

「お・ね・え・さ・ま♪」

そこに、後ろからソファをはさんで、ノインがフィーアに抱きつく。

「ノイン、どうしたの?」

自分の顔の横から顔を乗り出しているノインに、尋ねる。

「いやぁ、後ろから見るお姉様から乙女なオーラが見えたから思わず抱きついちゃっただけ」

小さく舌を出して、ノインは答えた。

「で、お姉様はチョコレートでも選んでるわけね」

フィーアが読んでいる雑誌の中を見て、ノインが言う。

「えぇ、父様は甘いものが苦手だからこのビターチョコレートにしようかこっちの抹茶チョコレートにしようか、どっちがいいと思う?」

フィーアは雑誌の中の二つのチョコレートを指差しながら、ノインに尋ねる。

「私とお姉様で両方作ったらいいんじゃない?」

「そうね……それもいいかもしれないわね」

ノインの提案に、フィーアは少し笑って頷く。

「逆に、母様は甘いものが好きだからこっちのザッハトルテでも作ってあげようかしら……」

ページをめくって、そこに載っているお菓子を指差しながらフィーアは言う。

「こっちのチョコムースでもいいんじゃない?」

同じページの中の違うお菓子を指差しながら、ノインが言う。

「じゃあ、こっちも二つとも作っちゃいましょうか」

「お姉様がそれでもいいんだったら、私は構わないし」

言って、ノインの手にコーヒーの入ったコップが二つ現れる。

「はい、飲むでしょ姉さん」

「あら、ありがとう」

さして驚かずに、フィーアは受け取ってそのコーヒーを飲む。

予め用意していたコーヒーをテレポートしただけである。

「そうそう、この母様に渡すチョコレートは母様達には内緒にね。 耕介さんが教えてくれるそうだから」

「判ったわ、後で驚かせたほうが楽しいしね」

そう言って、二人揃ってコーヒーを飲む。

ノインにとっては家でいる間の、姉であるフィーアを唯一独占できる大事な時間である。

だが、こういう時間は、えてして邪魔が多い……古人も言っている、月に群雲、花に風……と。

ブゥンと、空間が揺れる。

「おーい、フィーア」

銀髪の髪をたなびかせて現れる……リスティ。

「あら、リスティ姉様。 どうしました?」

対して驚かずに、フィーアはリスティに尋ねる。

「あぁ、耕介が呼んでるから迎えに来たのさ」

リスティの言葉にフィーアは頷いて、立ち上がる。

「じゃあ、行きましょうかノイン」

フィーアに言われ、ノインも立ち上がる。

その際、ノインは軽くリスティを睨んだ。

(お姉様との貴重な時間を邪魔してくれてぇ……)

メラメラと、ノインのバックで炎が燃えているようにも見える。

(ふん、そんなこと、誰が許すか)

対するリスティのバックにも、赤々と炎が燃えているようにも見える。

「リスティ姉様? ノイン? どうかした?」

軽くにらみ合いが続いたが、フィーアの声で中断した。

「よし、じゃあ行くか……おっと、ノインは自分で来てくれよ。 流石にボクも3人は厳しい」

「あら、だったら私がお姉様を連れて行くわ……もうリスティも“歳”なんだからね」

やたら“歳”の部分を強調して、ノインが言い返す。

「ほぅ……それはボクが老けたとでも言いたいのかい……」

ヒクヒクと、こめかみを引きつらせながらリスティは言う。

持っていた煙草は、すでに握りつぶされている。

「あらぁ、そんなつもりはないんだけど、やっぱりもう結構年取ってるわけですし……」

ノインのほうは、見れば高笑いしそうなぐらいの表情で言っている。

(死にたいようだね……)

(そっちこそね……)

お互いフィンを展開する。

正しく一触即発なのだが……

「あの、私も自分で跳んで行きますから、早く行きましょう。 耕介さんも待っていますし」

言って、フィーアは自分もフィンを展開して早々とさざなみ寮へと跳んで行った。

「「……………………」」

そして残されるノインとリスティ。

「勝負は、お預けだ」

「命拾いしたわね」

「そっちもな」

売り言葉に買い言葉、そんな応酬をしながらも二人はさざなみ寮へと跳んだ。

 

 

 

そして、3人はさざなみ寮へと直接跳んだ。

「おっ、いらっしゃい」

台所で昼の仕込みをしていた耕介が、フィーアとノインに言う。

「耕介さん、今日はよろしくお願いします」

「お願いするわ」

フィーアとノインは頭を下げると、耕介もよろしくと言い返す。

「じゃあ、何を作るかは決めてあるの?」

「はい、私はザッハトルテを」

「私はチョコムースよ」

耕介の質問に、二人は答える。

「ザッハトルテにチョコムースか、まぁそれなら何とかなるかな」

台所に用意していた材料を見て、耕介はうなずく。

「足りないものがあったらボクが買いに行ってもいいよ」

居間で煙草を吸っていたリスティが台所に来て言う。

「あら、気が利くわね……伊達に“歳”をとってないわね」

そのリスティに対し、ノインは挑発的に言う。

「ふん、ボクは大人の女としての気遣いができるだけさ。 まぁ、ノインみたいな子供にはまだ無理かもね」

リスティも、小馬鹿にした様な表情でノインに言う。

そして、お互いがにらみ合い、火花が飛び散る。

「そういえば、真雪さんはどうしたんですか?」

そんなやり取りをよそに、フィーアは耕介に尋ねる。

「あぁ、真雪さんは案の定二日酔いさ。 さっき降りてきた時に酔い覚ましを飲んでたから」

冷蔵庫の中からケーキ用のスポンジを取り出す。

そして、二人はお菓子を作り始めた。

後にノインもリスティとの言い合いを終え、お菓子作りに参加したのだが、すんなりとは当然のように行かなかった……

そして出来上がったチョコレートは当日受け取りに来る事にしてフィーアとノインは高町家に帰ってきていた。

「後は、父様に渡すチョコレートね」

展開していたフィンを消して、フィーアは言う。

「それは母さんも一緒に作るんでしょ?」

同じようにフィンを消すノインの質問に、フィーアは頷く。

「そろそろ父様も母様も帰って来る時間ね……夕食の準備をしましょうか」

「また料理をするのは面倒だけど、お姉様と一緒だからいいかな」

言って、二人は台所へといった。

 

 

 

そして次の日は朝からフィリスと3人でチョコレート作りだった。

恭也がいつものように翠屋へと行ったのを見計らって開始したのだ。

「で、二人とも何を作るの?」

エプロン(ピンクのフリルのようなもの)をつけながら、フィリスが尋ねる。

「私はビターチョコレートを、ノインは抹茶チョコレートです」

同じく(普通の)エプロンをつけたフィーアが答える。

「だったら、フィーアのビターチョコをスポンジにデコレーションして、その上から抹茶パウダーをかけましょうか」

フィリスの提案に、二人は頷く。

「私も小さい板チョコは作るわよ、そこにメッセージでも書こうと思うし」

黒いエプロンをつけて、ノインが言う。

「じゃあ、これを溶かしましょうか」

言って、フィリスはよく店などで売っているチョコレートを取り出す。

「せこい様な気もするけど……まっ、いいか」

ノインは小さく呟いて、同じように作業に取り掛かった。

 

だいたい昼ごろには二つとも出来上がっていた。

「試食してみた結果、味も大丈夫だったし……」

「流石に美由希みたいなデストロイな料理は作れないわよ」

フィリスの言葉に、ノインが口を尖らせながら言う。

「ノイン、そんな事を言っては美由希姉様が可哀想よ。 美由希姉様も努力しているのに」

そんなノインに、フィーアはたしなめるように言う。

「でもお姉様、あの美由希の料理は正直危ないわよ。 強化されてる私が言うんだもの」

その時の事を思い出したのか、身震いするノイン。

「まぁ、後は当日までにラッピングすればいいわけだから」

エプロンを外して、フィリスが言う。

「久しぶりに、3人で買い物にでも行きましょうか」

「意義なーし」

「はい、構いません母様」

フィリスの提案にノインは手を上げて賛成して、フィーアも少し苦笑しながら頷いた。

「でもさ、あれこのまま冷蔵庫に入れてたらばれない?」

自分もエプロンを外して、ノインが言う。

「そうね……桃子姉様に頼んで向こうの家の冷蔵庫に入れさせてもらいましょうか」

外したエプロンを脱衣所の洗濯籠の中に入れてきたフィーアが言う。

「じゃ、買い物のついでに翠屋に行って頼めばいいかな…ついでに父さんの奢りでシュークリームでも食べよっと」

赤いレザーのジャケットを羽織って、ノインは立ち上がる。

ちなみに、この3人で買い物に行くと、100%姉妹に間違えられる。

全員身長が低いこともさることながら、ピンクのフリルのゴシックロリータのような服を着るフィリス。

そのフィリスたちの影響か、反面教師なのか、フィーアは白いシャツに薄茶色のロングスカートを着ている。

さらにノインは黒のジーパンに黒いシャツ、極めつけに赤いレザーのジャケットを着ている。

何故か彼女達を姉妹と間違えた人はフィリスを一番年下だと思うらしい……

一度警察に補導された時フィリスは少々たそがれていたが……

「母さんさぁ、別に口出す事じゃないと思うんだけどそろそろそのピンクのフリル付は止めた方がいいと思うわよ」

ため息をつきながら、ノインがフィリスに言う。

「いいじゃない、好きなんだから……」

少々不貞腐れながら、フィリスは言い返す。

(リスティの言ってた事が良くわかるわ……まだまだ8歳って意味が……)

そんな事を考えていたノインだが、すぐに玄関へと歩いていく。

フィリスとフィーアもお揃いの茶色のダッフルコートを着て玄関へと行く。

そして街へと繰り出していった。

追記しておくと、街へついて30分後……案の定補導されて、ノインがきれていた事を記しておく。

 

 

 

そして、バレンタイン当日……

前日の内にさざなみ寮と高町家へチョコレートを取りに行っていたフィーアとノイン。

渡すなら早いほうがいいだろうということで朝、二人が出かける前に呼び止めた。

「父様、母様……これ、感謝の気持ちです」

「ありがたく受け取んなさいよね」

二人はそう言って、恭也とフィリスにそれぞれが作ったチョコレートを渡す。

恭也は勿論の事、フィリスも驚いていた。

そして、恭也が自分のチョコのラッピングを解くと、そこにはケーキと、メッセージが書かれたチョコレートが。

そのメッセージは……

 

 

 

Thanks Father and Mother

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

どうにか期限に間に合ったバレンタインSSです。

フィーア「考えたら、2年連続斜陽よね、バレンタインSS

まぁ、そうだなぁ……

フィーア「しかも所々端折り過ぎじゃない?」

うぅ、考えがまとまらなかったんだよぅ……

フィーア「全く……」

とにかく、今年のバレンタインSSをおおくりしました。

フィーア「結構いろんな人がバレンタインのSS書くけど」

うむ、そうだな。

フィーア「なんでホワイトデーのSSってあんまり見ないのかしら?」

あ〜、そうだねぇ……

フィーア「ってことで、あんたが書きなさい」

…………why

フィーア「私の命令は絶対だから、それ以上の理由はないわ」

シクシク……

フィーア「お姉様、今年も感謝のチョコレートを送らせてもらいますね〜〜」

ではでは〜〜〜





モグモグ。
美姫 「食べてないで、何か言え!」
ぐげろばろぉっ!
美姫 「という訳で、バレンタインSSありがと〜」
ピクピク……。
美姫 「ほのぼのとしてて良いわよね〜。ああ〜、何て可愛い娘なのかしら」
きっと、恭也は真雪みたいに、「うちの娘と付き合いたければ、俺から一本取ってみろ」とか言うんだろうな。
美姫 「確かに言いそうよね〜。って、アンタ、さっきまで痙攣してたのに!?」
あははは〜。慣れだよ、慣れ。
人間は慣れの生物さ。
美姫 「いや、あれを慣れって呼ぶのは、流石にどうかと思うんだけれど」
まあまあ。ともあれ、アハトさん、ありがと〜。
美姫 「ありがとうございました〜」



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