An unexpected excuse

  〜志摩子編〜





「俺が好きなのは・・・」

恭也の言葉に、集まったみなが息を呑む。

「志摩……「藤堂 志摩子」」

恭也の言葉をさえぎって、誰かがその名前を言い出す。

それに驚いた一同はいっせいに声の方を向く。

「おお、一斉にいろんな顔がこっちを向くと恐いものがあるねぇ……」

そこには……

「聖さん!!?」

恭也は驚きの声を上げる。

「やほっ、恭也。 でもつれないな〜、私の事はお姉さんって呼んでもいいって言ってるのに」

聖はそう言って、苦笑する。

「聖さんが来ていると言うことは……」

そう言って恭也は辺りを見回す。

「志摩子!!!」

そして、目当ての人物を校門のところで見つけ、恭也は走り出す。

「あっ、ちょっと恭也!!」

それを見た忍が追いかけようとする。

「はいはい、ここは追いかけないでおこうね」

そんな忍を聖が軽く引き止める。

「久しぶりの恋人の再会を邪魔しちゃ野暮でしょ?」

意味深に聖は笑って、それを見た忍たちはしばしば呆然としていた。

 

 

 

「志摩子!!」

校門のところまで走って行き、そこで待っていた少女の名を呼ぶ恭也。

「恭也さん!」

名前を呼ばれた志摩子も、嬉しそうに顔をほころばせる。

そして、人目もくれず抱き合う。

「志摩子……どうしてここに?」

抱き合ったまま恭也はたずねる。

「恭也さんに会いたかったんです……それだけじゃ駄目ですか?」

少し上目遣いに恭也を見上げ、志摩子は答える。

「そんなことはない……嬉しいさ」

そう言って恭也は微笑む。

「志摩子、少し来てくれないか?」

恭也はそう言って志摩子をつれて皆のところに戻ってくる。

「この人が俺の好きな人、志摩子だ」

ついていきなり恭也はみんなの前で言い出す。

紹介された志摩子は少し顔を赤くしてうつむいている。

「ちなみに私は志摩子の姉の佐藤 聖ね」

そして、ちゃっかり自分の紹介もする聖。

「恭ちゃん、その人とどこで知り合ったの!!?」

一通りの自己紹介を終えた後、美由希がたずねる。

「昔からの知り合いだ……付き合い始めたのはつい最近だがな」

恭也も少し顔を赤くして、答える。

その表情を見たFCの少女達は諦めたかのように帰っていく。

「ちなみに、婚約者だよね」

そこに、さらっと聖が爆弾を落とす。

「「「「「……………………」」」」」

その一言に、美由希達は固まる。

「聖さん!!? それは黙っておくって言っておいたじゃないですか!!」

「ありゃ、そうだっけ?」

顔を赤くして叫ぶ恭也に、こちらも顔を真っ赤にしてうつむく志摩子。

そして、問題発言をした聖自身はカラカラと笑っていた。

 

「「「「「婚約者ぁぁぁぁぁっ!!!!?」」」」」

 

そして、美由希達がおもむろに叫ぶ。

「きゃっ」

その叫びに驚いた志摩子を恭也は優しく抱きとめる。

「お前ら、いきなりなんだ?」

叫びだした5人に向かって言う恭也。

「ちょ、だって恭也!! 婚約者がいたなんて一言も聞いてないよ!!?」

「無論だ、つい先日決まったところだからな」

忍の質問に平然と答える恭也。

「先日っていつの事!!?」

更に美由希がたずねる。

「俺がこの前所用で東京に出ると言っただろう、その時だ」

恭也に言われ、美由希とレン、晶はその日を思い出す。

「じゃあ、なんで早く言ってくれなかったのよ!!?」

それを聞いた忍が更に叫ぶ。

「まず俺と志摩子がまだ学生と言うのもあるが、そういうのを言ってしまうと騒いでしまう人が2人ほどいるからな」

後者の理由を聞いて、なぜか皆納得してしまった。

「あっちではもう結構な噂なんだけどなぁ、志摩子の婚約」

「お姉さま!」

それを聞いた聖が苦笑しながら話すと、志摩子が顔を真っ赤にして言う。

「まぁまぁ、志摩子があんなに嬉しそうな顔してたらお姉さまが少しくらい恭也くんに嫉妬もするって」

自分のことなのにどこか他人の事のように笑いながら話す聖。

「と言う事はもしかして……」

恭也は先ほどの聖の言葉を聞いて恐る恐るたずねる。

「そっ、蓉子達は勿論知ってる」

その言葉に、恭也は志摩子を見る。

見れば、本当らしく顔を赤くしている。

「まぁ知られて困るような事じゃないでしょ?」

「確かに俺はそうですが志摩子に迷惑がかかるかと思うと」

「私は……大丈夫です」

恭也の問いに、志摩子は少し嬉しそうに答える。

「私も、別に知られて困るようなことじゃないですから」

そう言って、志摩子は笑う。

「志摩子……」

つられて、恭也も嬉しそうに笑う。

「はいはい、ご馳走様」

忍がパンパン、と手を叩きながら言う。

「恭也、カバンの方は私が何とかしておくから、志摩子さんに街を案内してきてあげたら?」

「いいのか?」

「事情はこっちで説明しておくから、ね」

忍の言葉に頷いて、恭也は志摩子の手をとって学校を出て行った。

「さてと、私は恭也君のお母さんがやってるっていう喫茶店でも行こうかな」

「私達は授業ね」

聖と忍がそう言って、ここは解散となった。

 

 

 

「どうせだから……もうこれを渡しておこうか」

少し歩いて、二人は臨海公園へと来ていた。

「なんですか?」

公園のベンチに座っていた志摩子は立ち上がる恭也を見つめる。

「もうばれてしまったんだ、隠す事はないだろう」

少し顔を赤くして、恭也は一つの銀のリングを取り出す。

「ちゃんとしたものは後日ちゃんと渡そう……だから、今はこれで我慢して欲しい」

そう言って恭也が渡したのは、銀のフォーチュンリング。

「もうすでに婚約もしているのだから今更だとは思うが……お守り代わりにでも持っておいて欲しい」

kyoyashimakoと、彫ってある。

それを志摩子は黙って受け取って、左手の薬指にはめた。

「そんな事、ないです……大切に、します」

そして、志摩子も立ち上がって微笑む。

「改めて、俺は誓う。 生涯志摩子の傍にいて、志摩子を幸せにする事を」

膝をつき、恭也は宣言する。

まるで、自分に言い聞かせるように。

「幸せにしてくださいね、恭也さん」

それに、志摩子は少しの涙をたたえて言い返す。

「志摩子……」

「恭也さん……」

そして、恭也は立ち上がって、志摩子の唇にキスを落とす。

志摩子も目を閉じて、それを受け入れる。

とても甘くて、優しいキス。

そして、どちらからともなく、抱きしめあう。

恋人だけの時間、愛するもの同士の、抱擁。

そして、しばらく抱き合っていた二人は離れる。

「行こうか……母さんにちゃんと紹介する」

「そういえば、私も挨拶に伺ってませんでした」

二人して笑って、歩き出す。

未来に向かって、その一歩を踏み出して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

だぁぁぁぁぁぁ!!! 燃え尽きた……

フィーア「馬鹿なこと言ってないでちゃんとしなさい」

リクエスト貰ってからすぐに書き終えろと言う君が何を言うか!?

フィーア「あ〜ら、お姉さまの指示はほかの事よりも優先的にやらないといけないのよ」

頭ががんがんするぅ・・・。

フィーア「はい、お姉さまのリクエストでAn unexpected excuse〜志摩子編〜をお届けしました〜〜」

今回は割りと甘めでほのぼのをめざしてみました。

フィーア「最初は恭也らしからぬ行動が目立つけどね」

そこは、お見逃しください。

フィーア「まぁいいわ。 後はお姉さまが気に入ってさえくれれば」

溜め込んでいたネタが一気に放出してしまった気が……

フィーア「ではでは〜〜、お姉さま。 今からそちらに向かいますので」

………………

浩さん、とりあえず、無事に再会できる事を祈っております。

大丈夫です、きっと顔と手ぐらいは無事……だとおもいたいです。

ではでは〜〜〜〜。




あ、甘すぎる……。
ぐわぁぁぁ〜。アハトさん、甘すぎますぅぅぅ。
とても、見てられない。
美姫 「じゃあ、見なければ」
嫌! というか、既に読み終えてるって。
美姫 「確かにね」
うんうん、良いお話だね〜。
甘々で、とっても良かった。
美姫 「あれ? 見てられないんじゃないの?」
あははは〜、そんな訳ないって。
だって、甘いのは好きだからな。
美姫 「はぁ〜、このバカの頭の中を覗いてみたい」
何なら、覗かせてやろう。
俺の脳裏には、この間の美姫の裸が……。
美姫 「お、思い出すなー!」
ぐげっ!
美姫 「この馬鹿! 馬鹿! 馬鹿! 忘れろ! 忘れなさい! 忘れる時!」
うぐ、うっげ、うがっ、がぎょっ、ごばぁ、がぁっ!
……ちょ、ちょっとした冗談だったのに。
美姫 「ふん! 自業自得よ。フィーアにあれ程、お仕置きされたというのに、全く懲りないんだから」
それはそれ〜、これはこれ〜。
美姫 「最近、前にも増して回復が早いわね」
あはははは〜。そ、そんな事はないぞ。
こ、これは空元気なんだ、うん。
美姫 「まあ、別に良いわ」
へっ!?
美姫 「だって、今からSSを書いてもらわないといけないからね」
ゴホゴホゴホ。いつもすまないね〜。
美姫 「それは言わない約束でしょう。さあ、あっちの部屋で書きましょうね」
……いや、そこはそれは言わない約束でしょう、だろう。
美姫 「知らな〜い。ほら、さっさと書きなさいよ」
ゴホゴホ。わしが、元気だったら…。
美姫 「元気だろうが、病気だろうが関係なし!」
…………か、花粉がぁぁ!
美姫 「それは、いつもの事でしょう。ほらほら、さっさと行くわよ〜」
ぐげっ! く、首が絞まってる。じ、自分で歩くから、引っ張るなー!
いや、ひ、引っ張るなら、別のところ…うげぇぇぇぇ!
美姫 「と、それじゃあ、アハトさん、投稿ありがとうね〜」
……(口の端からは泡。目は既に白目となっている)



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